糖尿病
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各種内分泌疾患, 肝疾患, 肥満症におけるアルギニン負荷時の膵グルカゴンならびにインスリン反応
清野 裕田港 朝彦後藤 康生倉八 博之桜井 英雄中根 憲一池田 正毅井村 裕夫
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1975 年 18 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

Ungerらは糖尿病者にアルギニソを投与した際の膵グルカゴン反応は過剰であることを見出し, 膵ラ氏島のα細胞の機能亢進が糖尿病の病態の重要な一因であることを指摘している, しかし糖代謝異常をきたしやすい他の病態時におけるグルカゴン分泌に関しては殆んど知見が得られていない. そこで各種内分泌疾患, 慢性肝炎および肥満症にアルギニンを投与しその際のグルカゴンならびにインスリン反応を正常者と対比した. なおアルギニンは10%1-アルギニン溶液を45分間点滴静注し, グルカゴンの測定には膵グルカゴンにほぼ特異的と考えられる抗血清30Kを用いた. 正常人の空腹時グルカゴン値は84pg/mlでアルギニン投与後10分 (205pg/ml), 45分 (298pg/ml) を頂値とする2相性の反応が認められた. クッシング症候群では空腹時グルカゴン値の上昇と共にアルギニンに対する著明な過剰反応が認められた. 甲状腺機能低下症, 慢性肝炎, 肥満症でもグルカゴンは過剰反応であったが. 空腹時グルカゴン値は正常者に比し特に変化は認めなかった. 甲状腺機能亢進症のグルカゴン反応は正常者と殆んど変わらなかった. 一方インスリンはクヅシング症候群, 甲伏腺機能低下症, 慢性肝炎で著明な過剰反応であったが, 甲状腺機能亢進症ではきわめて反応が不良であった. このようにアルギニンに対するインスリンならびに膵グルカゴン反応の異常が生ずる理由やその意義は不明であり, 更に詳細に検討すべき課題と考える.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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