糖尿病
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Maltitolの代謝に関する研究
第二篇臨床的検討
鴨井 正樹
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1975 年 18 巻 5 号 p. 451-460

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抄録

ヒトにおいてmaltitol経口投与時の代謝動態をglucose投与時と比較検討した.また, maltitolとglucoseを同時に経口投与してglucoseがmaltitolの代謝に及ぼす影響を検討し以下の結果を得た.
1) 正常健康人におけるmaltitolの腸管よりの分解吸収はglucoseと比較して遅延が認められ, その38%が吸収されると考えられた.2) 50g maltitol負荷試験 (以下MTTと略す) の血糖上昇は, 糖尿病者群, 諸種疾患の糖尿病型群においては正常人の50g glucose負荷試験 (以下GTTと略す) の血糖上昇より高かった.また, 50gMTTと50g GTTの血糖上昇を比較すると, 何れの群においても50g MTTによる血糖上昇は50gGTTによるそれの約去~ 者であった.50gMTTの血糖上昇と50g GTTのそれの間には有意の相関があり, また, 空腹時血糖と50g MTTの血糖上昇の間にも有意の相関があった.3) 正常健康人においてIRI上昇はGTTでglucose負荷量に比例するが, 50gMTTでは12.5g GTTにおけるIRI上昇よりも極めて低いことが認められた.また, 正常人, 諸種疾患正常および境界型群, 糖尿病型60歳以上群で50g MTTのIRI上昇は50g GTTのそれに比べて有意に少なかった。4) 50g maltitolと50gglucoseを同時に負荷した場合の血糖の頂値は何れの群においても50g glucose単独投与時より低い傾向がみられ, 血糖値の負荷前値に回復する時間は遅延した.5) 50g maltitol投与時副作用として下痢がみられたが, 正常人, 諸種疾患の正常および境界型群に多く, 糖尿病者, 諸種疾患の糖尿病型群に少なかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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