糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
アルギニンによるインスリン分泌の第一相と第二相
吉江 康正鈴木 洋小林 節雄竹村 喜弘
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 18 巻 5 号 p. 461-467

詳細
抄録
正常者および甲状腺機能亢進症患者に0.5g/kgの塩酸アルギニンを30分間にて点滴静注し, 経時的に採血して, インスリンおよび血糖を測定し, アルギニンによるインスリン分泌の第一相と第二相との差を検討した.正常者群では第一相は4分に頂値があって, インスリンの増加量 (以下IRI) は, 23.6±7.4μU/mlであり, 第二相は30分に頂値があって, IRIは40.9±10.6μU/mlであった.甲状腺機能亢進症群では, 第一相は2分に頂値があって, IRIは13.6±2.7μU/mlであり, 第二相は認められなかった.またインスリンの増加量と血糖の増加量との間には第一相においては相関係数-0.08であるのに対し, 第二相では相関係数0.70 (p<0.01) と相関関係を認め, 第二相は何らかの形で上昇した血糖の影響を受けているものと思われた.甲状腺機能とインスリンの増加量との関係も第一相においてはT3レジンスポンジ摂取率とIRIとの間に相関係数0.22であるのに対し, 第二相では相関係数-0.71 (P<0.01) の有意の逆相関関係を認めた.アルギニンによるインスリン分泌の第一相と第二相とは, 血糖の上昇, 甲状腺機能との間に著しく異なった関係にあり, この二つの分泌相は異なった分泌機構によりインスリン分泌が起こっていると思われた.
著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top