糖尿病
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18 巻, 5 号
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  • 第二篇臨床的検討
    鴨井 正樹
    1975 年 18 巻 5 号 p. 451-460
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒトにおいてmaltitol経口投与時の代謝動態をglucose投与時と比較検討した.また, maltitolとglucoseを同時に経口投与してglucoseがmaltitolの代謝に及ぼす影響を検討し以下の結果を得た.
    1) 正常健康人におけるmaltitolの腸管よりの分解吸収はglucoseと比較して遅延が認められ, その38%が吸収されると考えられた.2) 50g maltitol負荷試験 (以下MTTと略す) の血糖上昇は, 糖尿病者群, 諸種疾患の糖尿病型群においては正常人の50g glucose負荷試験 (以下GTTと略す) の血糖上昇より高かった.また, 50gMTTと50g GTTの血糖上昇を比較すると, 何れの群においても50g MTTによる血糖上昇は50gGTTによるそれの約去~ 者であった.50gMTTの血糖上昇と50g GTTのそれの間には有意の相関があり, また, 空腹時血糖と50g MTTの血糖上昇の間にも有意の相関があった.3) 正常健康人においてIRI上昇はGTTでglucose負荷量に比例するが, 50gMTTでは12.5g GTTにおけるIRI上昇よりも極めて低いことが認められた.また, 正常人, 諸種疾患正常および境界型群, 糖尿病型60歳以上群で50g MTTのIRI上昇は50g GTTのそれに比べて有意に少なかった。4) 50g maltitolと50gglucoseを同時に負荷した場合の血糖の頂値は何れの群においても50g glucose単独投与時より低い傾向がみられ, 血糖値の負荷前値に回復する時間は遅延した.5) 50g maltitol投与時副作用として下痢がみられたが, 正常人, 諸種疾患の正常および境界型群に多く, 糖尿病者, 諸種疾患の糖尿病型群に少なかった.
  • 吉江 康正, 鈴木 洋, 小林 節雄, 竹村 喜弘
    1975 年 18 巻 5 号 p. 461-467
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    正常者および甲状腺機能亢進症患者に0.5g/kgの塩酸アルギニンを30分間にて点滴静注し, 経時的に採血して, インスリンおよび血糖を測定し, アルギニンによるインスリン分泌の第一相と第二相との差を検討した.正常者群では第一相は4分に頂値があって, インスリンの増加量 (以下IRI) は, 23.6±7.4μU/mlであり, 第二相は30分に頂値があって, IRIは40.9±10.6μU/mlであった.甲状腺機能亢進症群では, 第一相は2分に頂値があって, IRIは13.6±2.7μU/mlであり, 第二相は認められなかった.またインスリンの増加量と血糖の増加量との間には第一相においては相関係数-0.08であるのに対し, 第二相では相関係数0.70 (p<0.01) と相関関係を認め, 第二相は何らかの形で上昇した血糖の影響を受けているものと思われた.甲状腺機能とインスリンの増加量との関係も第一相においてはT3レジンスポンジ摂取率とIRIとの間に相関係数0.22であるのに対し, 第二相では相関係数-0.71 (P<0.01) の有意の逆相関関係を認めた.アルギニンによるインスリン分泌の第一相と第二相とは, 血糖の上昇, 甲状腺機能との間に著しく異なった関係にあり, この二つの分泌相は異なった分泌機構によりインスリン分泌が起こっていると思われた.
  • Dextran Coated CharcoalとPlain Charcoalのインスリン吸着の比較について
    浅野 喬, 佐々木 悠, 西田 香苗, 奥村 恂, 結城 美代子
    1975 年 18 巻 5 号 p. 468-476
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    dextran coated charcoai (以下dextran charcoalと略) によるinsulin radioimmunoassayは, すでに確立された血中インスリン測定法であり.広く使用されているが, 最近dextran-coatin無の作用機序, すなわちmicro spongeのsieving actionについて疑問がもたれ, free insulinを吸着する部分をもsievingしてしまう可能性が報告された.私どもは, dextran charcoalとplain charcoalについて, free insulinの吸着性を比較検討した結果, 両者には明らかな差は認められなかった.血清を添加した場合にも, 吸着性には両者の間に差は認められなかった.freeおよびbound insulinを分離する際のplain charcoalの至適濃度の検討を行ったところ, 血清0.1mlを加えた状態では, 至適濃度は最終濃度0.17%であることが明らかとなった.
    plain charcoa1法の条件を設定し, 本法を用いて血漿インスリンのradioimmunoassayを行い, 回収率, 再現性ともに満足すべき結果が得られた.
    本法は簡便であるとともに経済的にも安価であるなどの利点があり, 実用性に富む方法であることを確かめた.
  • 小児糖尿病患者における検討
    坂本 有甫, 星 充, 繁田 幸男, 王子 亘由, 泉 寛治
    1975 年 18 巻 5 号 p. 477-481
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性血管障害の検索方法として指爪床部毛細血管をcapillary microscopeで観察し, 毛細血管の形態変化, 即ち拡張, 波状, 迂曲, 分岐, 捻転, 係蹄頂延長, 穎粒状血流および微細毛細血管の各項目について, 加重点方式により評価点を与えた.対象は第2回近畿小児糖尿病サマーキャンプの参加者30名のうち17名 (男子6名, 女子11名) と, 健常児20名について行い, さらに既報の成人糖尿病患者の所見と比較検討した.糖尿病児では, 毛細血管の太さの変化, 拡張と係蹄頂延長のうち, 係蹄頂延長の評価点が, 健常児に比して有意に高く, その他の項目については健常児と変わらない所見を得, 係蹄頂延長は糖尿病性変化であることが示唆された.また穎粒状血流, 微細毛細血管などの血流の変化と血管の狭小化を示す所見は, 糖尿病のほか加齢の影響を強く受けることを示唆し得た.
  • 特に膵B細胞の組織学的・電子顕微鏡学的変化
    小林 成价
    1975 年 18 巻 5 号 p. 482-492
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    白色ウサギをもちいて, l-asparaginaseのもつ催糖尿病作用のうち今回は膵組織とくにB細胞の光顕ならびに電子顕微鏡的変化について検討を加えた.l-aspara墓inase単独投与ウサギの光顕的所見では, B細胞のクローム・アラム・ヘマトキシリン染色性の軽度の低下を認めた.電顕的所見では, B顆粒の著明な減少, 内容を欠く限界膜の細胞周辺への偏在化, Golgi野の発達, large vesicle, lysosome-likebodyも一部に認められた.
    l-asparaginase, cortisone併用ウサギの光顕所見では, B細胞のクローム・アラム・ヘマトキシリン染色性の極度の低下, 細胞周辺への顆粒の局在性は著明であったが, 核の異常, 細胞破壊などの像はなかった.
    電顕的所見では, B細胞の脱顆粒は著明であるが, 内容を欠く限界膜の数は少ない.mitochondriaはやや膨張し, 変形しているものがあるが, その数は多くない.Golgi装置の数は減少している.粗面小胞体は発達したfilament構造の中に埋没し, ribosomeは表面より解離し, 細胞内に分散して, 全体としてB細胞の変性所見が高度であった.cortisone自体にもB細胞障害作用が認められているが, 何故両者の併用が各単独投与群より著明な変化を惹起するかは, 今後検討を要する.
  • 進藤 俊彦, 武井 宏夫
    1975 年 18 巻 5 号 p. 493-498
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖に対するインスリン低反応は糖尿病に特徴的とされている.しかし二次性糖尿病者などでも低反応を示すものがある.このようなインスリン低反応者がいかなる意味を持つかを知るために, 健常者, 糖尿病者, 境界型者, 二次性糖尿病者46例に50gGTT (GTT) と, グリベンクラミド併用50gGTT (G1-GTT) を実施し, 41RI/JBS, ΣBS, ΣIRIについて検討し, Gl-GTTが非糖尿病インスリン低反応の鑑別に有用であるとの成績を得た。41RI/JBSは糖尿病群ではGTT, Gl-GTTでともに0.4以下 (1例の例外あり), 二次性糖尿病では, GTTで0.4以下のものは17例中6例だが, これらはGI-GTTでは0.8以上に上昇した.この6例についてGTTのΣBS, ΣIRIをみると5例は糖尿病群と区別不可能であったが, Gl-GTTではΣIRIの増加を認め, 糖尿病群と明らかに異なった反応を示した.境界型7例では, GTTのインスリン低反応者もGl-GTTではむしろ二次性糖尿病者に近いインスリン反応を示した.
    以上の成績から, GTTにおけるインスリン低反応者には, 糖尿病だけでなく二次性糖尿病者, 境界型者も含まれ, 後二者のインスリン低反応は, G1-GTTで改善されると考えられるとの結論を得た.
  • 倉八 博之, 桜井 英雄, 吉見 輝也, 清野 裕
    1975 年 18 巻 5 号 p. 499-505
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病者のプドウ糖に対する膵グルカゴン (IRG) 分灘を知る目的で糖尿病および糖尿病家系司持たない非肥満の正常対照群12名, 未治療糖尿病者 (耐糖能異常に明らかな二次的原因を持つ者は除く) 58名に509ブドウ糖経口負荷試験 (OGTT) を施行した.糖尿病者は空腹時血糖 (FBS) により140mg/dl以下を軽症, 140くFBS<200mg/dlを中等症, 200mg/dl以上を重症とした.採血は前, 30, 60, 90,120分の計5回で, グルカゴン抗血清は30Kを使用した.
    正常対照群ではIRGは順次下降し前値98±5pg/mlから90,120分で63±5, 60±6pg/mlと有意の低下を示した.軽症糖尿病者のIRGも順次下降したが有意でなかった.中等症, 重症糖尿病者のIRGは有意に低下せず, 逆に上昇する傾向が認められた.IRGの奇異上昇の機序は明らかでないが, 腸管グルカゴンの関与は無視できた.糖負荷後のIRGあるいは血糖 (BS) が前値より減少する場合, 前値との差にマイナス (-) の符号をつけて, 血糖の増加量の総和ΣBSとIRGの変動値の総和ΣIRGとの比の-ΣIRG/ΣBSについて検討すると, 正常者および軽症, 中等症, 重症糖尿病者ではそれぞれ1.96±0.57, 0.11±0.05,-0.002±0.06,-0.09±0.07 (mean±SEM) であった.
    OGTT時の30分でのinsulinogenic indexとともに血糖の変動に対する膵グルカゴンの変動を-ΣIRG/ΣBSで算出したindexで表わすと, これら2つのlndexはOGTT時のブドウ糖に対するインスリン反応と膵グルカゴン反応を反映し, この両者を考えあわせるとブドウ糖と膵α, β両細胞機能との関係を簡明に表現できて耐糖能異常の鑑別診断に新しい手段となり得る可能性が示唆された.
  • とくに日米比較を中心に
    佐々木 陽
    1975 年 18 巻 5 号 p. 506-516
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和42年から46年までの5年間に大阪府下で発生した人口動態死亡票 (死亡診断書) 約20万件について調査し, 糖尿病を原死因とするもの1,883件, 糖尿病はあったが他疾患で死亡したもの (糖尿病2次死因) 1,378件, 合計3,261件の糖尿病の死亡を見出した.これらの糖尿病死亡の死因分布を一般人口と比較するとともに, 同様な方法で行われた1955年の米国公衆衛生局の調査ならびに1968-69年の米国Pennsylvania州の調査と対比し, 糖尿病の死因の日米間における相異を検討した.
    1) 糖尿病死亡全体の中に占める糖尿病原死因 (死因統計で糖尿病となるもの) の割合は57.7%となり, 実際の糖尿病患者の死亡は死亡統計の約1.7倍と推定された.2) 糖尿病を原死因とするものについて, 同時に記載された死因を1955年の米国の統計と比較すると, 血管障害は米国の72.4%に較べ, 大阪は54.7%で少なく, また動脈硬化性心疾患, 全身動脈硬化症は米国が著しく多い.一方, 高血圧疾患腎症は大阪の方が多いが, 中枢神経の血管損傷は余り差がみられなかった.3) 糖尿病を2次死因とするものの原因を昭和44年の大阪府の死因統計から計算した期待死亡数と比較すると, 腎炎およびネフローゼ, 肝硬変, 高血圧性疾患, 結核が有意に多く, また膵臓の悪性新生物も2倍多く認められた.なお, その他の悪性新生物との糖尿病の関連性はみられなかった。4) 同じく糖尿病が2次死因のものの原死因を米国の成績と比較すると, 心死とくに動脈硬化性心疾患は圧到的に米国に多く脳血管疾患は逆に大阪に多くみられた.腎症はわずかに大阪に多い.また, 結核, 胃の悪性新生物, 肝硬変は明らかに大阪に多くみられた.
    以上の検討の結果, 糖尿病患者の死因は日米間に大きな差がみられ, その母集団の特性が大きく反映されていることが見出された.
  • 正常および糖尿病における変動
    奥野 巍一, 多胡 基, 黒田 耕平
    1975 年 18 巻 5 号 p. 517-524
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ルカゴン (G) の研究はその基本的1乍用たる血糖上昇作用に始まるが, 初期のG製剤にはinsulinなどの不純物の含有多く, 従って種々の病態での高血糖反応は今日の純度の高いGを用いて再検討されねばならない.また脂質代謝に対してもGの脂質調節作用を示唆する成績があったが, 今日まで研究報告に乏しく一致した見解がない.このため肥満のない正常対照 (N) 16例と未治療糖尿病48例をD1 (空腹時血糖129mg/dl以下, 11例), D2 (130mg/dl以上, 11例) およびD3 (200mg/dl以上, 10例) に分け, それぞれにG (Lilly) 1mgを静注し, 血糖, コレステロール (Cho1), 中性脂肪 (TG) の変動を検討した.
    その結果 (1) 最大血糖上昇度はN44.6±4.3 (M±SEM), D1 57.1±6.6, D2 80.0±5.6, D3 78.5±12.3mg/dlとなった.血糖が頂値に達する時間はN15~30分, 糖尿病では30分以降で重症程おくれる.注射前値への復帰はN60分, 糖泳病では90分以降でやはり重症程おくれる.従ってGによる高血糖曲線は糖尿病の重症度をかなりよく反映し, 空腹時血糖が高くなる程最大血糖上昇が大となる傾向になる. (2) 血中Cho1はGにより不変または極めて僅かの一過性の減少を示すにとどまるが, 血中TGはD1を除き明らかに低下し, 120分後ではN 16.8%, D2 17.7%, D324%と前値に比しそれぞれ有意に減少した.以上の血糖, Chol, TGの変動について特にinsulinと関連せしめながら考察した.
  • 岡田 章
    1975 年 18 巻 5 号 p. 525-534
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    223例の一次性糖尿病患者について, 多変量解析法を応用して糖尿病性網膜症の病像を分析し, 眼底所見と臨床所見との関連性について検討を加えた. さらに悪性網膜症への進展の早期予測を試み, 実地臨床面への応用に資することを目的とし, 次の結果を得た.
    1) 相関分析, パリマックス分析による解析の結果, 糖尿病性網膜症は深層性出血と硬性白斑を主たる病変とする単純性網膜症群と, 血管新生と増殖性病変を主たる病変とする悪性網膜症群の2群に分け得た. 表在性出血は後者により強い相関を示し, 悪性網膜症への進展に重要な意義を有することを示唆した. 2) Scott分類法による糖尿病性網膜症の程度は収縮期血圧, 罹病期間, 空腹時血糖と有意の相関を認めた. 糖尿病性網膜症を構成する眼底所見別に検討すると, 深層性出血は収縮期血圧, 空腹時血糖, 尿蛋白と, 表在性出血は空腹時血糖, BUN, 尿蛋白と, 硬性白斑は血清コレステロールと, 血管新生は空腹時血糖, 血清コレステロール, 収縮期血圧, 尿蛋白と有意の相関を認めた。一方, 糖尿病性網膜症の進展に関与する因子としては深層性出血, 表在性出血, 空腹時血糖, 尿蛋白が重要と考えられた. 3) 眼底所見と臨床所見とから, 悪性網膜症への進展を予測する1次線形判別関数を導き得た. 判別分析の精度は97.6%であった.
  • 西本 儀正, 曽和 悦二, 藤井 暁, 関 淳一, 和田 正久, 越智 宏暢
    1975 年 18 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    いわゆる一次性糖尿病患者で膵シンチフォトを施行したものについて, その描出状態と糖尿病の病型, 罹病期間, 血管合併症, コソトロール状態などとの関連について検討し, 更に対象の一部については経時的膵シンチフォトを施行し若干の知見を得た.
    1) 一次性糖尿病患者108例中, 膵シンチフォトでなんらかの異常を示したものは78例 (72.2%) であり, 特にインスリン必需型糖尿病患者においては24例中22例 (91.7%) に異常を認めた. 2) 罹病年数の長いもので, 膵の描出異常を示す頻度が高い傾向がみられた. 3) コソトロール不良のものでは, 良好のものに比し描出異常を示すものが多くみられた. 4) 網膜病変の認められない群では, 膵の描出正常例がやや多い傾向がみられたが, 網膜病変の有無と膵の描出状態との間には特に一定の関係は認められなかった. 5) 膵シンチフォトを経時的に観察すると, 高血圧または眼底に動脈硬化性変化が著明なものでは, 膵がより良く描出されるまでの時間が遅延する傾向がみられた.
  • 四宮 由美子, 香川 昌平, 小西 淑子, 森本 治子, 津村 洋子, 松島 久代, 市来 孝子, 山口 恵子, 野村 早苗, 増山 隆子, ...
    1975 年 18 巻 5 号 p. 541-546
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は家兎赤血球を用いてインスリン受容体についての検討を行ったが, 他の標的組織で見出されている受容体の性質と類似の特性を有するインスリン結合がこの細胞にも見られた. 家兎赤血球への125I一インスリンの結合は非標識インスリンにより競合的に抑制されたが, グルカゴンによっては全く影響を受けず, 125I-インスリンが赤血球に存在する特有の受容体に結合することが明らかになった. この反応のScatchard plotは我々の行った条件下において性質を異にする二種類の結合部位の存在を示しており, 平衡定数はそれぞれ, Kaff=3.2×108/M, Kdiss=3.1×10-9M; Kaff=1.4×108/M, Kdiss=7.1×10-9Mと計算された. また, この時の結合容量は, 0.011ng/4×108cellsおよび, 0.138ng/4×108cellsと推定された.
    家兎赤血球におけるインスリン受容体は過剰の同ホルモンにより飽和されると見られ, また, 結合量は赤血球数に比例する直線関数として表わされた. また, この結合反応の至適pHは7.4付近であった. 反応の時間的変化については, 0℃ においては時間とともに緩慢な結合量の増大をきたし, 10~15時間で平衝状態となった。しかし, 25℃ および37℃ においては20~30分後に頂値に達した後, 漸時減少することが観察された.
    以上の成績より, ヒトを対象として生理的並びに臨床的検討を試みるためには, 赤血球が有用な材料となりうることが期待される
  • 平田 幸正
    1975 年 18 巻 5 号 p. 547-550
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 18 巻 5 号 p. 551-572
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 18 巻 5 号 p. 573-586
    発行日: 1975/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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