糖尿病
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糖尿病者の50gブドウ糖経口負荷時の膵グルカゴン反応について
倉八 博之桜井 英雄吉見 輝也清野 裕
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1975 年 18 巻 5 号 p. 499-505

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抄録

糖尿病者のプドウ糖に対する膵グルカゴン (IRG) 分灘を知る目的で糖尿病および糖尿病家系司持たない非肥満の正常対照群12名, 未治療糖尿病者 (耐糖能異常に明らかな二次的原因を持つ者は除く) 58名に509ブドウ糖経口負荷試験 (OGTT) を施行した.糖尿病者は空腹時血糖 (FBS) により140mg/dl以下を軽症, 140くFBS<200mg/dlを中等症, 200mg/dl以上を重症とした.採血は前, 30, 60, 90,120分の計5回で, グルカゴン抗血清は30Kを使用した.
正常対照群ではIRGは順次下降し前値98±5pg/mlから90,120分で63±5, 60±6pg/mlと有意の低下を示した.軽症糖尿病者のIRGも順次下降したが有意でなかった.中等症, 重症糖尿病者のIRGは有意に低下せず, 逆に上昇する傾向が認められた.IRGの奇異上昇の機序は明らかでないが, 腸管グルカゴンの関与は無視できた.糖負荷後のIRGあるいは血糖 (BS) が前値より減少する場合, 前値との差にマイナス (-) の符号をつけて, 血糖の増加量の総和ΣBSとIRGの変動値の総和ΣIRGとの比の-ΣIRG/ΣBSについて検討すると, 正常者および軽症, 中等症, 重症糖尿病者ではそれぞれ1.96±0.57, 0.11±0.05,-0.002±0.06,-0.09±0.07 (mean±SEM) であった.
OGTT時の30分でのinsulinogenic indexとともに血糖の変動に対する膵グルカゴンの変動を-ΣIRG/ΣBSで算出したindexで表わすと, これら2つのlndexはOGTT時のブドウ糖に対するインスリン反応と膵グルカゴン反応を反映し, この両者を考えあわせるとブドウ糖と膵α, β両細胞機能との関係を簡明に表現できて耐糖能異常の鑑別診断に新しい手段となり得る可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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