糖尿病
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インスリン自己免疫症候群におけるインスリン結合抗体のImmunoglobulin ClassならびにLight Chain Typeについて
見坊 隆平田 幸正
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1976 年 19 巻 1 号 p. 53-62

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抄録

1970年, 平田らにより発見されたインスリン自己免疫症候群例はその後報告例が増加し15例におよんでいる. その一部の症例インスリン結合抗体のimmunoglobulin class (以下Ig classと略す) とlight chain type (以下Lc typeと略す) について検討が行われ, そのインスリン結合抗体はインスリン治療例にみられる抗体と性状を異にすることが報告されている. 私どもは6例の本症候群の血清についてIg classの決定にはradioimmunoelectrophoresis (以下RIEPと略す), speci丘cprecipitation法 (以下Sp法と略す), Christiansen法の三つの方法を, Lc typeの決定にはRIEPとSp法の二つの方法を用いて検討した. その結果, インスリン自己免疫症候群にみられるインスリン結合抗体のIg classは三つの方法のいずれでもIgGに属した. Lc typeはRIEPでは1例がK, L両型を呈したが, 他の5例はK型のみであった. Sp法でもK型は全例に認められたが, L型も3例にわずかに認められた. そのうちの1例についてL鎖のK/L比を算出すると9: 1とL鎖はほとんどK-chainよりなることを示した. 対照としたインスリン治療例13例の抗インスリン抗体はIgGに存在したが, 2例にIgMにも認められた. またLc typeは抗体価が非常に低い例を除きK, L両型を呈し, そのうちの1例のK/L比は1.3: 1とK-λ-chainがほぼ均等になっていることを示した. 以上の成績よりインスリン自己免疫症候群にみられた血中インスリン結合抗体はインスリン治療例の抗体と異なることを示した.

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