糖尿病
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急速な自然寛解を示したインスリン自己免疫症候群の1例
平田 幸正田坂 仁正小田桐 玲子竹居 真知子上原 国光梅田 政吉恩地 森一堀野 正治尾山 秀樹天工 厚子見坊 隆富長 将人
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1977 年 20 巻 4 号 p. 474-481

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抄録
すでにインスリン自己免疫症候群はわが国で多数の報告をみているが, 本症例は四国で発見された最初の例である. 症例は70才の男で, 昭和50年2月5日より早朝空腹時に低血糖昏睡が起こるようになり, 2月12日, 済生会今治病院へ入院した. 低血糖発作は14日まで起こり, 以後は起こらなくなった. 最終発作時の血糖は24mg/dlと低く, 血清からの抽出されたimmnoreactiveinsulin (IRI) は9020μU/ml, Cpeptideimmunoreactivity (CPR) は36ng/dlで, ともに異常高値を示した. またこのIRIおよびCPRの大部分はIgGから抽出できた. 本症例のインスリン抗体はIgGに属し, そのL鎖をみるとkappa型がlambda型に比べ, 著明に優位であった. なおこのCPRの高値は, 分泌されたヒトプロインスリンがインスリン抗体と結合したためであることが示された. また本症例の血清中にはブタプロインスリンに対する特異抗体は陰性であった. これに対して対照として検査したインスリン抗体陽性のインスリン治療糖尿病患者血清中にはブタプロインスリンに対する特異抗体を認め, またそのインスリン抗体のL鎖ではkappa型がlambda型に比べ, わずかに優位であるにとどまった.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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