糖尿病
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胆管閉塞時の高グルカゴン血症について
南條 輝志男三家 登喜夫近藤 渓小池 広昭森山 悦裕猪尾 和弘宮村 敬
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1978 年 21 巻 7 号 p. 661-669

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抄録
家兎を用いて胆管閉塞が血中グルカゴン値に及ぼす影響を観察するとともに, 胆管閉塞時血中グルカゴンと胆汁中グルカゴン様物質との関連についても検討した.
pentobarbita1麻酔下に総胆管閉塞術前後 (n=10) の血糖, 血漿インスリン, 血漿グルカゴン, 肝機能, 血漿アミラーゼを測定し, shamoperation (n=5) と比較した. なおグルカゴン (IRG) は特異抗体30Kを用いて測定した. その結果, 胆管閉塞後肝機能に高度な異常が出現しない時期よりIRGの増加は有意であり, 血糖, インスリンは不変であった. 次にBioGel P-10カラムによるIRGのゲル炉過像を見ると, 胆汁中には分子量約2,000のIRGが大量 (20~30ng/ml) に存在し胆管閉塞後高IRG血i漿は大部分が大分子量IRGにより構成されていた. 胆汁をin vitroで正常血漿とあらかじめincubationすると胆汁中IRGはゲル炉過上, 大分子量IRGに変換されその分画像は胆管閉塞後の血漿IRGと類似していた. また, 酸性条件下のゲル炉過で大分子量IRGはいずれの場合も消失した. 以上より胆管閉塞時高IRG血症に胆汁中IRGが関与していると考えられる. なお, 胆汁を非特異抗体AGS-10 (島, 松山) で測定した値は30Kによる値の1/10以下であったことより, 胆汁中のグルカゴン様物質は特異抗体30Kにのみ強い反応性を有する物質と思われる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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