糖尿病
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Tolbutamideの正常犬の心筋収縮力に及ぼす効果について
星野 桂一西沢 正隆宇田川 篤子小沢 友紀雄長谷 克
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1979 年 22 巻 8 号 p. 883-894

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抄録

Tolbutamide (TOLB) の陽性変力効果については, invivoでは意見の一致をみていない. そこで雑種成犬8例を用いNembutal麻酔下でTOLB 40mg/kg投与後の血糖, NEFA値, 心血行動態におよぼす影響, とくにSiegelらによるIsometric Time Tension Index (ITTI) を心筋収縮力指標として用い, コントロール犬8例と比較検討した.
結果:(1) TOLB投与30分後血糖値は前値の68.0±5.3%に低下し, 明らかなTOL8による血糖降下を認めた. (2) 心拍数はTOLB投与2分後より軽度ではあるが有意の減少を示した. (3) 左室ポンプ力指標としての左室収縮期圧, 平均股動脈圧, 1回拍出量, 1回仕事量はTOLB投与2分後より増加を示し, 30分後も持続した. また左室拡張末期圧は2分後より有意の減少を示した. (4) 心筋収縮力指標としてのITTIは前値に対し, 2分後平均34.6%(P<0.01), 5分後24.2%(P<0.01), 20分後21.3%(P<0.02), 30分後36.0%(P<0.01), の有意の増加を示し, 2分後を初期のピークとする2峰性を思わせる増加を示した. またMax. LV. dp/dtもほぼ同様の増加様式を示した. (5) 心拍出量, 全末梢血管抵抗は経過を通じて有意の変動を示さなかった.
以上よりTOLBはin vivoでも陽性変力作用を持つことが確認された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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