糖尿病
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Tolbutamide 14Cの生体内分布に及ぼすAlcoholの影響
勝又 一夫勝又 義直
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1979 年 22 巻 8 号 p. 925-934

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抄録
tolbutamide14Cの白鼠生体内分布とそれに及ぼすアルコールの影響をオー-トラジオグラフィ-により検討した. すなわちtolbutamide14C10μCi (1mg) を無標識tolbutamide25mgと同時に体重1009前後のウィスター系雄性白鼠に経口投与し, 10分, 20分, 30分, 1, 3, 5, 8時間後の時点で全身オートラジオグラフ像を作製し, 同時にアルコール0.5mlを投与した群と比較した. (1) tolbutamide14Cの消化管からの吸収はアルコールの投与で著明に増大した. 対照群では投与8時間後にかなりの14C原子が結腸, 直腸に認められたが, アルコール群ではほとんど認められなかった. (2) tolbutamide14Cの諸臓器への分布をみると, 対照群では黒化度のピークが投与後3~5時間で現われるのに対し, アルコール群では腎を除いて投与1時間後に出現し, またその値も対照群より高かった. (3) 腎髄質における14C原子の黒化度はアルコール群では対照群よりも高く, 尿からの14C原子の排泄はアルコール群の方が充進していることを示した. (4) 心腔内の14C原子の黒化度は両群ともに心筋における黒化度よりも高い. アルコール群の心腔内の黒化度は投与1時間後では対照群よりも高く, アルコールの投与で14C原子の血中濃度が投与初期には対照よりも高いことを示唆した. 以上の結果よりtolbutamide14C原子の消化管からの吸収はアルコールにより著明に強められ, 諸臓器及び血中の1℃ 原子の濃度がアルコールにより高くなることが示された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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