糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
食物線維の糖尿病治療への応用とくにGlucomannanとGalactomannan (Guar Gum) の影響について
松浦 省明広瀬 良和河原 啓住ノ江 啓子竹田 文彦上野山 林造土井 邦紘馬場 茂明西川 和典
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 23 巻 3 号 p. 209-217

詳細
抄録

最近, 糖尿病治療としての食物線維の有効性が注目されている. そこで我々は, コンニャク塊茎より精製されたglucomannan (以下GMと略す。) を用いて糖代謝および脂質代謝に及ぼす影響を観察した. また一部GMとgalactomannan (guar gum以下GGと略す。) について比較検討を行った.
その結果, 509経ロブドウ糖負荷試験 (以下OGTTと略す。) において, GMを前投与することにより, 血糖及びインスリンの低下傾向が健常群及び糖尿病群で認められ, またその頂値も若干遅延ぎみであることから, GMの作用機序は食物の吸収遅延が示唆された. GGをGMと比較する目的で, それぞれ同量 (2.69) を前投
GGをGMと比較する目的で, それぞれ同量 (2.69) を前投与してOGTTを行ったが, GG前投与のOGTTにおいて, 健常者群ではGM前投与と同じく血糖, インスリンの低下傾向が認められたが, 糖尿病群では, 血糖, インスリン共に変化が認められなかった.
膵グルカゴン (IRG) は健常群, 糖尿病両群においてGM, GGによる有意な変化は認められなかったが, 腸管グルカゴン (GLI) は多少抑制される傾向が認められた.
GM (3.9gまたは7.8g/日) の長期投与観察では, FBSの低下, インスリン量の減量あるいはインスリンより内服剤治療への切りかえが可能な症例が一部に認められた. 一方血清コレステロールに関しては一旦低下 (20日でp<0.1) 後再上昇する傾向が認められた.
血中胆汁酸値はOGTTにより上昇する傾向が認められたがGM前投与により低下した.
以上より, GMは他の食物線維と同様に, 糖尿病治療の補助的手段として有効であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top