糖尿病
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Prospective Follow-up Studyによる本邦糖尿病患者の予後調査
登録後2年目の成績, とくに糖尿病患者の原死因について
三原 俊彦平田 幸正
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1981 年 24 巻 5 号 p. 565-571

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抄録

本邦糖尿病患者の長期予後をみる目的で, 1976年1月1日より12月31日までの1年間に東京女子医大糖尿病センターを受診した糖尿病患者1,629名のprospective fbllow-up studyを行い, 登録後2年を経た時点において死亡糖尿病患者の原死因について調査した.登録2年後の追跡状況は, 生存者1,558名, 死亡者70名, 生死不明者1名であり, 生死に関する追跡率は99.9%であった.死亡者全員の死亡診断書の写しを入手し, 第8回修正国際疾病, 傷害および死因統計分類に基づき原死因を決定した.原死因の第1位は悪性新生物21名であり, ついで虚血性心疾患17名, 糖尿病11名, 脳血管疾患7名の順であった.糖尿病患者の性, 年齢にマッチさせた国民一般に比し糖尿病患者では, 原死因糖尿病で13.25倍, 虚血性心疾患で4.51倍多く死亡しており推計学的に有意であったが, 他の原死因では両群間に有意な差は認めなかった.従来の死因統計では追跡不能例として集計から除外されていたと思われる役所照会により死亡を確認したものの中に, 虚血性心疾患による死亡例が多数みられた.死亡糖尿病患者の剖検率は24.3%と低かった.また, 全死亡者の74.3%は病院で死亡したものであった.なお, 死亡糖尿病患者の死亡診断書の死因欄における糖尿病の病名記載率は38.6%と低率であり, 死亡診断書にあらわれない死亡糖尿病患者が多数存在することが判明した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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