糖尿病
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24 巻, 5 号
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  • 河原 玲子, 雨宮 禎子, 笠原 督, 古守 知典, 新城 孝道, 井上 幸子, 平田 幸正
    1981 年 24 巻 5 号 p. 529-535
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者におけるketoacidosisの有無とHbAIおよび赤血球2, 3DPGの関係を知るために未治療糖尿病を尿ケトン体およびacidosisの有無により3群: 80名の尿ケトゾ体陰性群, 6名の尿ケトン体陽性しかしacidosisのないもの, 5名のketoacidosisに分け早朝空腹時または緊急入院時HbAIと2, 3DPGを同時に測定した.またketoacidosisの2名にインスリン持続注入を行いHbAIと2, 3DPGの推移を観察した.1) HbAIは尿ケトン体陰性群では12.1±2.8%(M±SD) で対照群の6.2±0.7%に比し有意に高値であった (P<0.001).また尿ケトン体陽性非acidosis群で16.6±2.2%, ketoacidosis群で18.1±1.9%と順次増加しコントロールの悪さを反映した.2) 赤血球2, 3DPGは尿ケトン体陰性群4.45±0.81μmol/mlRBCで対照群の4.10土0.39に比し有意に高値であった (P<0.05)。また尿ケトン体は陽性でもacidosisのない群の2, 3DPGは4.62±0.39で尿ケトン体陰性群と同様高値を示したが, ketoacidosis群では2.24±0.91と著明な低値であった.3) 尿ケトン体陽性の2群においては血液pHと2, 3DPGとの間に強い正相関をみとめた (r=0.92, P<0.001).4) 2例のketoacidosisにインスリン持続注入を行ったところHbAIは3時間後および3日後にどちらも前値との差2.3%の低下をみとめた.2, 3DPGは2例とも著明な低値であったがインスリン注入1または2時間後さらに低下した.その後徐々に上昇したが正常値に到るのに1例は3日後, 他の1例は1週間以上を要した。
  • 川口 侃, 香川 昌平, 村社 恵子, 松岡 瑛
    1981 年 24 巻 5 号 p. 537-546
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/09/13
    ジャーナル フリー
    低濃度ブドウ糖培養液に添加したアデノシンのインスリン分泌能低下抑制作用と培養ラ島の同低下機序の解明のため, 5.5mMブドウ糖, 1mMアデノシン添加5.5mMブドウ糖, 16.7mMブドウ糖の3種の培養液による14日間培養ラ島 (A, B, C島) と単離直後のラ島 (F島) を用いて浮置法により, 経時的検索を行い以下の結果を得た.16.7mMブドウ糖刺激に対し,(1) インスリン分泌: B, C島では有意な分泌を認めたが, F島の約35%に低下していた,(2) 45Ca2+uptake: B島は5, 15, 30分で1.64±025, 6.21±0.35, 7.79±0.44pmol/isletと漸増する有意なC, F島と同レベルの取り込みを認めたが, A島は有意に低値を示した,(3) cAMPcontent: 各培養ラ島とも, F島が15分で38.9±2.3f mol/isletと頂値を示し, 30分まで同水準を維持したのに反し, 経時的に有意な増加を示さなかった,(4) cAMP release;各培養ラ島とも, F島が最初の5分間に, 対照の3.3mM同刺激に比し, 有意な分泌を示したのに反し, 有意差のない35f mol/islet前後の放出を示し, B, C島では以後30分まで, 漸増する同種の放出を認めた,(5) cAMP contentとrdease量の総和: B, C島は各時点でF島と有意差を認めなかったが, A島は著明な低値を示した.以上より,(1) アデノシンは低濃度ブドウ糖培養ラ島のインスリン分泌, 45Ca2+uptake能低下の抑制作用を示した,(2) 培養ラ島のインスリン分泌能低下には, ブドウ糖刺激におけるcAMP産生不全以外にも, 何らかの障害が関与している可能性が示唆された.
  • 原 正雄, 山谷 恵一, 富永 真琴, 神村 裕子, 高橋 健二, 佐々木 英夫
    1981 年 24 巻 5 号 p. 547-551
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラットで膵および胃腸摘出後にも膵グルカゴンに特異的な抗体と反応するグルカゴン活性が存在する.このグルカゴン活性物質が腎に由来するかどうか, 腎灌流実験と抽出実験を行った。膵のグルカゴン分泌刺激である20mMアルギニン, 10ngおよび100ngイソプロテレノールで腎を灌流して得た灌流液について30Kを用いてグルカゴンを測定したが, グルカゴンの増加は認められなかった.同様に腎抽出物についてのグルカゴン測定ではその存在を証明し得なかった。
  • とくに, 不安定型糖尿病の糖代謝正常化について
    豊島 博行, 難波 光義, 清水 孝郎, 花房 俊昭, 鷲見 誠一, 野中 共平, 垂井 清一郎
    1981 年 24 巻 5 号 p. 553-563
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    簡便に操作ができ, 極めて小型軽量の持続皮下インスリン注入 (continuous subcutaneous insulininfusion, 以下CSII) 装置の開発に際し, 著者らは臨床的立場から, その改良に参加した.その結果改良された同装置を用いる短期間のCSII療法により, 外因性インスリンを要する糖尿病患者の糖代謝正常化が可能となるか否かを検討したところ, 従来の, 中間型または速効型インスリン1日1~3回注射時と比較すると, 投与インスリンを減量しえたにもかかわらず, 血糖日内変動には著明な改善がみられた.すなわち, 6例の日内平均血糖値の平均値は, 180±22 (mean±SD) mg/dlより123±28mg/dlに, M値の平均値は73±23より18±9へと, いずれも推計学的に有意な低下を示した.とくに, 血糖調節が極めて困難であるとされる膵全摘糖尿病者, brittle型糖尿病者, 周産期のインスリン依存性糖尿病妊婦においても, 正常者とほぼ変わらない血糖調節が可能であった.血漿遊離脂肪酸の日内変動は, CSII療法により正常化を示す傾向がみられた.血中ケトン体濃度の高値を示す例は, その正常化がみられた.しかし, 血清コレステロール, トリグリセリド, β-リポ蛋白濃度は不変であり, 血中アラニン.ピルビン酸, 乳酸濃度, 赤血球2, 3ジホスホグリセリン酸濃度も有意な変化を示さなかった.インスリン抗体の存在しない例において, 血漿IRI, CPR値の日内変動を検討したところ, CSII療法では, IRI, CPRともにむしろ軽度の低下を示した.
    今回著者らの試みたCSII療法は, 従来のインスリン療法で血糖調節の困難な例においても, 正常者に匹敵する良好なコントロールを可能にすることが確認された.
  • 登録後2年目の成績, とくに糖尿病患者の原死因について
    三原 俊彦, 平田 幸正
    1981 年 24 巻 5 号 p. 565-571
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本邦糖尿病患者の長期予後をみる目的で, 1976年1月1日より12月31日までの1年間に東京女子医大糖尿病センターを受診した糖尿病患者1,629名のprospective fbllow-up studyを行い, 登録後2年を経た時点において死亡糖尿病患者の原死因について調査した.登録2年後の追跡状況は, 生存者1,558名, 死亡者70名, 生死不明者1名であり, 生死に関する追跡率は99.9%であった.死亡者全員の死亡診断書の写しを入手し, 第8回修正国際疾病, 傷害および死因統計分類に基づき原死因を決定した.原死因の第1位は悪性新生物21名であり, ついで虚血性心疾患17名, 糖尿病11名, 脳血管疾患7名の順であった.糖尿病患者の性, 年齢にマッチさせた国民一般に比し糖尿病患者では, 原死因糖尿病で13.25倍, 虚血性心疾患で4.51倍多く死亡しており推計学的に有意であったが, 他の原死因では両群間に有意な差は認めなかった.従来の死因統計では追跡不能例として集計から除外されていたと思われる役所照会により死亡を確認したものの中に, 虚血性心疾患による死亡例が多数みられた.死亡糖尿病患者の剖検率は24.3%と低かった.また, 全死亡者の74.3%は病院で死亡したものであった.なお, 死亡糖尿病患者の死亡診断書の死因欄における糖尿病の病名記載率は38.6%と低率であり, 死亡診断書にあらわれない死亡糖尿病患者が多数存在することが判明した.
  • 安部 行弘, 長谷川 完, 坪井 修平, 今井 正信
    1981 年 24 巻 5 号 p. 573-580
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性壊疽に非クロストリジウムによるガス産生性感染を伴った例は, 欧米で16例, 本邦では著者らの報告を含め9例ある.今回著者らは, 非クロストリジウムによるガス産生性感染から敗血症を起こし, 不幸な転帰をとった糖尿病の2例を報告した.症例1は45歳, 男, 肛門部に魚骨が刺さり, 肛門左側部に鶏卵大硬結発赤を認めた.血糖375mg/dlで抗生剤, インスリン投与を開始した.その後, 陰嚢部, 両側鼠径部, 左側胸腹部にまで皮下気腫を伴う壊疽となり死亡した.壊疽部からの培養で大腸菌が検出された.症例2は41歳, 男, 口渇, 小裂創による右足背部痛, 発熱を訴え来院した.血糖370mg/dlで抗生剤, インスリン投与を開始したが, 第4病日突然昏睡状態となった.髄液検査より髄膜炎と診断した。右足背部は膨化, 捻髪音を認め, 切開にて排膿, 排ガスを認めた.同部の膿, 動脈血, 髄液にクレブシェラを多数検出した.第8病日に死亡した.剖検で化膿性脳脊髄膜炎, 肺・肝・腎に多発性膿瘍を認めた.本症は高圧酸素療法, 抗血清が無効なことより, クロストリジウムによるガス壊疽との鑑別が重要である.鑑別は臨床症状, 経過によるが, レントゲン所見, 細菌培養も重要である.死亡率は高く, 病巣部の切開排膿および廓清などの創処置, 抗生剤の投与が大切である.しかし, 病状によっては, 早期の積極的な外科的治療が必要と考えられる.
  • 池田 匡, 倉橋 明男, 重政 千秋, 浜崎 尚文, 徳盛 豊, 武田 悼, 富長 将人, 真柴 裕人
    1981 年 24 巻 5 号 p. 581-585
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳女性の特発性副甲状腺機能低下症1例につき, その治療前後において経口 (0-GTT) および経静脈ブドウ糖負荷試験 (IV-GTT) ならびにアルギニン負荷試験 (ATT) を行い, インスリンおよびグルカゴン反応を観察した.血清Ca濃度が3.3mEq/lの治療前では, O-GTTの血糖曲線は境界型を示したが, 血清Ca濃度が4.3mEq/lとなった治療後には, インスリン反応の改善とともに血糖曲線も正常型となった.IV-GTTにおいては, 治療前後で糖消失率にもインスリン反応にも大きな差はみられなかった。Q-GTTおよびIV-GTTにおけるグルカゴン反応には, 治療前後で著明な差はみられなかった。ATTでは, 治療前にインスリンの低反応とグルカゴンの過剰反応が観察されたが治療後にはいずれも正常化した.
    以上より, 血清Caはインスリン分泌に重要な役割を有していると思われたが, グルカゴン分泌は血清Ca濃度にそれほど影響を受けていないものと考えられた.
  • 1981 年 24 巻 5 号 p. 587-616
    発行日: 1981/05/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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