1981 年 24 巻 8 号 p. 853-860
糖尿病性壊疽6例の臨床像とプロスタグランディンE1静注の効果について報告した. 対象者の年齢は41-74歳で60歳以上が4例であり, 男性1例女性5例であった. 糖尿病の罹病期間は2-27年でうち5例は10年以上であった. いずれの症例にも網膜症やニューロパチーを認め, 誘因としては血糖コントロールの不良, 外傷, 知識不足による創の不適切な処置などが考えられた. 細小血管症との関連が注目されている血小板機能のうち, 血小板凝集能は2例において明らかな亢進がみられ, β-Thromboglobulinは全例が高値を示した. 治療法としては従来の保存療法に加え, プロスタグランディンE1の点滴静注が有効であると考えられた.