糖尿病
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糖尿病と血漿過酸化脂質
菅原 啓依田 敏行平田 徹後藤 由夫
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1981 年 24 巻 9 号 p. 891-896

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抄録

過酸化脂質は, 老化や退行性変化, 動脈硬化症などの原因のひとつとして注目されている.糖尿病でも血中過酸化脂質が増加し, 血管合併症を有する患者でより高値を示すと報告されている.われわれは, 糖尿病患者136名, 健常者171名計307名について血漿過酸化脂質を測定し, 糖尿病性血管障害との関係について検討した.
血漿過酸化脂質は, 性別, 10歳ごと年齢階級別の比較で, 糖尿病患者と健常対照群との間に有意差がなかった。年齢構成のほぼ等しい50歳以上の糖尿病患者の検討では, コントロールの良否, 治療法, 罹病期間などとは相関しなかった.しかし, 高脂血症合併群, 虚血性心疾患合併群では, 男女とも有意の高値を示した.網膜症の有無, 重症度とは相関しなかった.また, 腎症合併の女性群, 大動脈石灰化のある女性群では, 健常女性群に比して有意の高値を示した.
以上の結果より, diabetic macroangiopathyを有する糖尿病患者で血漿過酸化脂質が高値であることが示唆された.過酸化脂質にはprostacyclin (PGI2) 合成阻害作用もあり注目されている.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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