糖尿病
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75g Glucose負荷による血漿Zn濃度, Insulinおよび血糖値の動態とその相互関連性について
相楽 衛男曽根 賢工藤 幹彦武部 和夫
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キーワード: 血漿Zn, IRI, GTT
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1982 年 25 巻 11 号 p. 1201-1210

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抄録
今回われわれは血漿Zn濃度が75991ucose負荷により, 迅速に低下する点に着目し, 同負荷前後における血漿Zn insulin (IRI) および血糖の相互関連性について検討した。対象66例はIRIの分泌動態, 血糖動態, 糖尿病家族歴および治療歴, 血漿Zn濃度に影響を及ぼす合併症の有無などを考慮してNIHの診断基準勧告を参考にnorma1群, 診断不能群 (ND群), 耐糖能異常群 (IGT群), 75g glucose負荷前血糖値 (FBS) 120mg/dl未満の群 (DM-A群), 同120mg/dl以上, 180mg/dl未満の群 (DM-B群), 同180mg/dl以上の群の計6例に分類し, 以下の結果を得た.1) DM-B群およびDM-C群はnormal群に比し, 75g glucose負荷前Zn値 (Zn基礎値) は有意に低下した (p<0.01).2) DM-A群, DM-B群およびDM-C群の糖尿病者全体ではFBSとZn基礎値 (r=-0.474, P<0.01), 75991ucose負荷後30分の血漿Znの変動幅 (4Zn)(r=-0.487, p<0.01) との間にはそれぞれ有意の負の相関を認めた.3) 血漿Zn濃度の75g glucose負荷後120分間の動態はFBS120mg/dl未満の各群ではDM-A群, IGT群, ND群, normal群の順に著明に低下したが, DM-B群, DM-C群の低下は軽度であった.4) FBS120mg/dl未満の4群の各症例と75g glucose負荷後30分間のinsulinの変動幅 (IRI) の間 (r=0.382, p<0.05) およびinsulinogen icindexとZn/IRIとの間 (r=0.586, p<0.001) にはそれぞれ有意の正の関係が存在した.以上の結果は糖尿病者で血漿Znを論じる場合にはFBSを考慮すべきであり, 血中glucoseの処理に関してはIRIとともにZnも深く関与し, その処理機構においては血漿Zn-血漿IRIの間に特異な関係があることを窺知させる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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