血糖の自己管理施行中の40症例 (IDDM 22, NIDDM 18-うち糖尿病妊婦6) にCornell Medical Index (以下CMIと略す) および矢田部-Guilford personality test (以下YG testと略す) を行い, その精神的側面と血糖コントロールの関連を検討した.
1) 40症例のうちCMI III, IV (神経症的傾向) およびYG testでB, E型 (情緒不安定) と判定されたものは20.0%および12.5%と他報告より低かった.
2) HbA
1< 9%(n=18), 9%≦HbA
1< 12%(n=18), HbA
1≧12%(n=4) のそれぞれの群におけるCMI III, IVの頻度は0%, 22%, 100%, YG test B, E型は0%, 6%, 100%であり, コントロール不良症例では心理テストの成績が悪かった. そして2例は自己管理を中断した.
3) IDDM, NIDDMの別をとわず, HbA
1 12%以上の症例では, CMI III, IVかつYG test B, E型を示した. 糖尿病妊婦は全例がCMI I, IIかつYG test D, C型と精神的に安定していた.
4) Scott IIIb以上の網膜症あるいはGFR 30 m
l/min以下の腎障害をもつ症例では全例がCMI III, IVであったが, YG testとは関連がなかった.
5) 糖尿病の罹病歴と心理テストの成績の間には一定の傾向は認められなかった.
血糖の自己管理は良好なコントロールを得るための有用な手段である. しかし, 神経症的傾向を示すものや, 情緒不安定, 社会的不適応型の性格をもつ症例ではその効果があがりにくい. 心理テストは自己管理の適応を考える上で参考になると共に, 精神的に問題のあることが示唆された場合は, 精神科医やカウンセラーの協力を求めることが望ましい.
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