糖尿病
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心筋梗塞と耐糖能 (第3報)
冠硬化の病型と血漿インスリン分泌動態の関係について
市原 利勝
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1982 年 25 巻 2 号 p. 105-111

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抄録
高インスリン血症が冠動脈硬化の危険因子となり得ることが注目されつつあるが, 著者は冠動脈造影所見とOGTT中のIRI反応の関係に検討を加えた.
(1) 対象は有意冠動脈病変をもつ心筋梗塞症36例と狭心症10例で, いずれも非肥満者を選び健常人9例と比較した.
(2) IRI分泌動態はΣIRI, ΣBS, ΣIRI/ΣBS, ΔIRI/ΔBSにつき検討した. ΣIRIは3枝障害群と狭心症群ではやや高い傾向を示し, ΣBSは各群共高値を示した. この結果, ΣIRI/ΣBSは対照群と同等ないしやや低値を示した. ΔIRI/ΔBSは対象各群とも有意に低値であった. ΣIRI/ΣBSとΔIRI/ΔBSは対象の約半数が低い値を示したが, 多枝障害になるにつれその率は減少傾向を示した. 一般にOGTTのD型ではΔIRI/ΔBSは低く, しかも他の冠危険因子をより多く合併する傾向にあった.
(3) IRI反応曲線は対象の各群とも頂値が遅延し, かつ高い値を示すものが多く, 特に多枝障害群のB型やD型で顕著であったが, 心筋梗塞症と狭心症の違いによる差は認められなかった. 対照群との比較では30分値が低く, 120分値が高くこの2点での差がもっとも大であることが知られた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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