糖尿病
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糖尿病患者の血漿β-Thromboglobulin濃度と加齢の影響
北沢 明人頼経 元高松 順太名方 潔古川 恵三藤田 邦彦茂在 敏司
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1982 年 25 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
糖尿病患者では血漿β-thromboglobulin (BTG) 濃度が健常者より高値を示すとされる.一方健常者の血漿BTG濃度は加齢により増加するといわれる. 著者らは, 糖尿病患者と健常者を対象に血漿BTG濃度を測定し, それぞれ年代別に比較し, 糖尿病性網膜症との関係を検討した結果, 以下の成績を得た.
(1) 健常者84例では, 加齢とともに血漿BTG濃度が増加した.
(2) 網膜症非合併糖尿病患者139例の平均血漿BTG濃度は, 各年代とも健常者より高値を示し, 50歳以下では両群間に有意差が認められた.
(3) 網膜症合併群140例の平均血漿BTG濃度は若年者ほど高値を示し, 50歳以下では網膜症非合併群よりさらに高値であった.
(4) 糖尿病患者の血漿BTG濃度は網膜症の重症度, 治療方法あるいは血糖コントロール状態と有意の関連はみとめられなかったが, 推定罹病期間の短い群で高値を示した.
以上の成績は糖尿病における血小板異常の側面を明らかにしたものであり, かつそれが血管障害の二次的な現象ではなく, 先行する可能性を示唆するものである.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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