糖尿病
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R-R間隔変動と糖尿病コントロール状態との関連
杉山 博通関口 祐司宮野 龍美田中 明若林 哲雄内村 功前沢 秀憲
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キーワード: R-R間隔変動, HbA1, 空腹時血糖
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1983 年 26 巻 10 号 p. 1003-1009

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抄録

比較的短期間の糖尿病コントロールに伴い, 深呼吸時R-R間隔変動が改善した症例を経験した.症例1, 59歳女性.糖尿病罹病歴7年.インスリン持続皮下注法によりbrittle型の血糖変動が安定化し, 1ヵ月間にヘモグロビンA1 (HbA1) が19.6%から12.0%と低下した.このときR-R間隔変動は37msecから72msccと増大した.症例2, 52歳男性.糖尿病発見時空腹時血糖 (FBG) 478mg/dl, HbA1 16.0%が, 食事療法により43日後にFBG 107mg/dl, HbA1 12.5%となった.このときR-R間隔変動は244msecから339msecと増大した.そこでFBG・HbA1からみた糖尿病コントロール状態がR-R間隔変動に影響を与えるか否かを検討するため, 外来通院中の糖尿病51例 (男性22例, 女性29例, 57±10歳) を対象として, 約1ヵ月間隔で2回, 朝食前にFBG・HbA1・R-R間隔変動を測定した.その結果FBG変化率とR-R間隔変動変化率との間には関連を認めなかった.HbA1変化率が10%以上の症例において, R-R間隔変動変化率はHbA1改善群6±14%, HbA1増悪群-20±23%と両者に有意差 (p<0.02) を認めた.以上より, R-R間隔変動は過去1-2ヵ月間のコントロール状態に影響される可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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