糖尿病
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Bedrestの糖代謝に及ぼす影響
ことにBedrest期間の延長に伴う血糖, インスリン, Cortisol, Thyroxine, Glucagon, アミノ酸との関連
高山 弘平酒井 茂利皆川 彰矢野 侃青山 昭徳渋谷 昌彦島袋 全哲冨山 元次郎平田 清司飯塚 和弘宮国 泰夫
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1983 年 26 巻 4 号 p. 445-453

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抄録

長期にわたる生理的活動の減少が物質代謝ことに糖質を中心とした代謝位相, 日内rhythmに及ぼす影響を検討した.8週間のbedrestによる血糖, インスリン, cortisol, thyroxine, glucagon, アミノ酸の6項目の値の推移が経過を追い測定された.患者群は坐骨神経痛, 結核, 骨盤骨折などで絶対安静におかれた14例で頭書の病名以外には今回の6項目の測定値およびその他の検査値にも異常なく, 対照群は患者群と同性, 同年齢の健康者20例で両群とも家族歴に糖尿病, 代謝性疾患のないものが選ばれた.血液試料は静脈穿刺により毎食前および20: 00, 24: 00, 4: 00の各時点の測定値により日内rhythmを観察した.bedrest群はbedに拘禁される前および拘禁後10日, 20日, 30日, 42日, 56日に採血された.インスリン感性指数はbedrestにより低下した.血糖, インスリン, thyroxineの1日の変動rhythmはbedrest延長に伴って激しく変化し, bedrest期間とcircadian-rhythmが密接な関連にあることが明らかにされたが, 血糖値との問に相関は見出されなかった.糖原性アミノ酸アラニンは血糖平均level上昇に伴い第4週を項値として増加したが, アラニン, 血糖両者とも以後第8週に向かい漸減し対照値に近づいた.これに反しglucagonは8週間のbedrest中, 漸次増加した-以上の所見から何等かの理由により余儀なくbedrestをとるに至った患者に就て, その患者のある時点の検査試料の成績を評価する時には, 日内rhythmがbedrestにより推移変動していることを考慮に入れる必要があることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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