糖尿病
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糖尿病におけるLow T3 Syndromeについて
原 正雄山谷 恵一富永 真琴八幡 芳和丸橋 成次郎高橋 健二佐々木 英夫
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1983 年 26 巻 7 号 p. 733-737

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抄録
糖尿病では血中サイロキシン濃度 (T4) は正常で血中トリヨードサイロニン (T3) 濃度が低値を示す, いわゆるlow T3 syndromeがみられることが知られている. そこで糖尿病におけるlow T3 syndromeの成因を知る目的で, 未治療の糖尿病50例につき, T4, T3リバースT3 (rT3), 遊離T4 (FT4), サイロキシン結合グロブリン (TBG), 甲状腺刺激ホルモン (TSH) を測定し, その結果より症例をlowT3 syndrome群と正常T3群にわけ, 両群の間の異同を検討した.
50例中2例はT4およびT3がともに低値で, 1例は甲状腺機能低下症であった. 他の48例はT4が正常で, うち17例 (35.4%) がT3低値でlow T3 syndromeであった. low T3 syndromeでは正常T3群にくらべ, T4およびTBGが有意に低かった。rT3はlow T3群syndromc群で低値であったが有意差なく, FT4およびTSHにも差がなかった. 以上より糖尿病のlow T3 syndromeの原因の一部はTBG減少であると考えた.
low T3 syndrome群では正常T3群にくらべ, 空腹時血糖の上昇, 体重低下が有意であった. 網膜症の頻度とは相関がなかった, また両群で, 腎症または肝硬変の合併頻度に差がなく, TBGの尿中漏出または肝における合成低下を示す所見はなく, 糖尿病のlow T3 syndromeにおけるTBG減少の理由は明らかでなかった.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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