糖尿病
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Phytic Acidを用いたHemoglobin AI測定法に及ぼす腎不全状態の影響
黒川 秀彦矢島 義忠藤田 芳邦斉藤 正行
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キーワード: 腎不全
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1983 年 26 巻 7 号 p. 729-732

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抄録
phytic acidを用いたHbAi測定法 (PHR法) に及ぼす腎不全状態の影響について検討を行った.
1) 非糖尿病性慢性腎不全患者20例のPHR法により測定したHbAI値は, 同時に測定したBUN値との間にr=0.68 (P<0.001) の相関を有する増加を示した. 一方, HbAI値とFBSとの間には有意の相関を認めなかった.
2) 尿素窒素として100,500および1000mg/dlの尿素を含む培養液 (pH 7.45) を37℃7日間放置後に測定したシアン酸濃度は各々1.25, 3.44および7.25mg/dl (Mean, N=2) であった. さらに, これら種々濃度のシアン酸を含む培養液を用いて健常人赤血球を37QC3日間培養後に測定したHbAI値は各々5.7土1.0, 33。7土2.8および55.8土3.8%(M±SD, N=4) であり, HbAI値とシアン酸濃度との間にr=0.975,(P<0.0001) の相関が認められた.
以上より, 腎不全状態を有する糖尿病患者においては, カラム法と同様に, PHR法によるHbA1値の評価にも注意が必要であると考えられた. また, 腎不全状態においてPHR法によるHbAI値が高値を示した機序として, シアン酸がブドウ糖と同様に2, 3-DPGポケットでhemoglobinと結合 (carbamylatedhemo910binの形成) して, phyticacidのhemoglobinへの結合を阻害したことが考えられた
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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