糖尿病
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低アルブミン血症をともなった糖尿病性腎症におけるFibrinocoagulopathyに関する研究
飯岡 幸夫
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1984 年 27 巻 4 号 p. 515-521

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抄録

糖尿病における低アルブミン血症がfibrinocoagulopathyに及ぼす影響を明らかにすることを日的とした.
糖尿病87例 (NIDDM63, IDDM24例) と健常者14例を対象とした.糖尿病者は細小血管症の面から, 年齢をほぼ合致させた4群にわけた.I群: 網膜症 (-), 蛋白尿 (-), 低アルブミン血症 (-) II群: ScottI~IIの網膜症 (+), 蛋白尿 (-), 低アルブミン血症 (-) III群: ScottIII~Vで蛋白尿 (+), 低アルブミン漁症 (-) IV群: III群と同様ScottIII~Vで蛋白尿 (+), しかも低アルブミン血症も (+).採血は早朝空腹時に行い, 血漿β-thromboglobulin (以-ド, β-TGと略す), soluble fibrin monomer complexes (以ド, SFMCと略す), Fibrinogen (以下, Fbgと略す), 血清BUNなどを測定した.
β-TGは, Iに比しIIIとIV群で高値, IIIに比しIV群で高い傾向にあった.SFMCは, 1に比しIIIとIV群で高値, かつ, mに比しIV群で高い値を得た.β-TGとSFMCとの間には正の相関関係があった。血清アルブミンとβ-TGならびにSFMCとの問にはそれぞれ負の相関関係をみた.Fbg., α2-グPtブリン, BUNなどとβ-TGとの問にはIEの相関を, また, それらとSFMCとの問にも, 正の相関関係がみられた.
以上より, 糖尿病における低アルブミン血症は, 赤血球凝集を九進させるにとどまらず, Fbg.分解を尤進させ, 血小板放出反応も増強させることが明らかとなった.このような状態はいずれもthrombin発生の結果と考えられ, 血管障害の進展に関ケすると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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