糖尿病
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腎不全のない糖尿病患者にみられる低レニン性低アルドステロン症の臨床的検討
横川 俊博小田桐 玲子平田 幸正
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1984 年 27 巻 5 号 p. 621-627

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抄録
高カリウム (K) 血症を呈し, 腎不全および高血糖がなく, 内分泌学的検査 (2時間立位負荷試験, ACTH試験) から低レニン性低アルドステロン症 (HRHA) と考えられた糖尿病 (DM) 10例を臨床的に分析した, HRHA10例では,(1) I型DM1例, II型DM9例,(2) 54±11歳,(3) 男8例, 女2例,(4) 経過年数11土4年,(5) 高血圧9例,(高血圧の遺伝歴を有する症例4例, 高血圧先行例2例, 高血圧とDM同時発見例3例),(6) 尿蛋白3g/日以上2例, 1-3g/日4例, 1g/日未満4例, クレアチニン・クリアランス47±7ml/min, 血清クレアチニン1.6±02mg/dl,(7) アキレス腱反射と膝蓋腱反射消失および知覚神経障害1G例, 起立性低血圧 (OH) 6例, OHを有する6例の血漿ノルエピネフリンは, OHのない4例に比し, 立位負荷に対し, 低反応 (p<0.01) を示したが, 血漿レニン, アルドステロンおよび血清Kには差がなかった,(8) 眼底はScottII, IIIaが4例, Scott IIIb以上が6例,(9) 食事療法のみが2例, 経口血糖降下剤2例, インスリン6例.糖尿病にみられるHRHAは, 経過年数の長い高齢男性に多く, 合併症では高血圧 (特に本態性高血圧) および腎機能障害と密接に関連していることが示唆された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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