糖尿病
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ヒトインスリン (SHI) の使用により治療インスリン量の減少と脂肪組織萎縮の改善を認めたIDDMの1例
横川 泰小野 順子高木 良三郎国広 潔渡辺 紀明
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1984 年 27 巻 sppl1 号 p. 131-136

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抄録

要約: 半合成ヒトインスリン (Semisynthetic Human hsulin, 以下SHIと略す) を使用し, 治療インスリン量を減量することの出来た症例を経験した. 症例は16歳女子高校生で, 昭和56年10月 (14歳), ケトアシドーシスを伴って糖尿病を発症した. 直ちにインスリン治療が開始され, 初回入院時レンテインスリン15単位でコントロールされたが, 次第に必要量が増加した. 発症5カ月後レンテインスリンU-100に変更された後より急激に注射量が増加し, 130単位を使用するに至った。 以後1年間, 約100単位でコントロールされていたがインスリン抗体価は高く, また注射部位にlipoatrophyを生じたため, 発症1年5カ月後レンテインスリン95単位をヒトインスリン75単位に変更したところ, 5カ月後70単位でFBS100~180mg/dl, Hb A1は8.1%となり, lipoatどophyも改善傾向を示している. 血糖日内変動は摂取カロリー2300kcalで著明に改善し, 血中のインスリン抗体の125I-インスリン結合率は61.0%から42.4%と低下, それに伴い総インスリン量も9600μU/斑1から979μU/nllへと低下した。 この抗体の特異性を検討したが, ヒト, ブタ, ウシィンスリン間に結合率の差はなく, 本症例のインスリン使用量の減少は使用インスリンの種属差によるとは考えられなかつた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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