抄録
ブタモノコンポーネントインスリンと半合成ヒトモノコンポーネントインスリンの作用時間を糖尿病患者において比較した. ブタモノコンポーネントとしてはNovo社のMonotard insulin, Actrapid insulinを用い, 半合成ヒトインスリンとしてはNovo社より提供された治験用サンプルを用いた. 対象はブタ製剤で既に安定したコントロールの得られている糖尿病患者とし, 同単位のヒトインスリン製剤に変更して7日間治療を行い, 両剤投与時の血糖日内曲線ケトン尿, 低血糖症状を比較した, Monotard 1回注射の5例では, 空腹時血糖には差がなく, 日内変動では, 昼間はブタインスリン使用時の方がやや血糖が高く, 夕食前後にかけてはヒトインスリン使用時の方が血糖が高目であったが有意差はなかった, 夜間の血糖値は両剤間に差はなかった.
Monotard, Actrapidの混合分割注射例では, 血糖日内変動は等しくほとんど差を認めなかった. ケトン尿の出現はなかった. ブタインスリン使用時には低血糖の自覚症状はなかったがヒトインスリン使用時には低血糖を自覚するものがみられた, 健常者に中性レギュラーインスリンを皮下注射した場合, ヒトインスリンの方が血糖下降が強い傾向があったが, Monotard製剤においてはブタ, ヒト間で作用時間が異なるとする結果は得られなかった.