抄録
インスリン既治療糖尿病患者を対象とした半合成ヒトインスリン (HMI) と精製ブタインスリン (PMI) の二重盲検試験の安全性についての予備試験を行った. I型2例, II型5例の糖尿病患者に対し, PMIによる治療からHMIへ変更し6~8週観察した. インスリン使用量は17.7±2.1単位 (PMI), 20.0±9.5単位 (HMI), 空腹時血糖値107.4±83.7mg/dl (P), 121.2±72.8mg/dl (H), HbA1は9.9±1.0%(P), 8.0±1.2%(H) であり, 両剤使用時において有意な変動はみられなかった. 精製ブタインスリンの治療からヒトインスリン製剤への切り換えに伴うインスリン需要量の変動, 代謝状態の変動はそれほど大きくなく, HMI製剤は対照薬剤PMIとほぼ等力価と考えて二重盲検治験を開始しても安全であると考えられる.