糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
給餌制限により糖尿病状態をコントロールしたKKマウスにおける病理組織学的研究
小林 孝好
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 28 巻 1 号 p. 33-43

詳細
抄録

自然発症糖尿病動物として知られるKKマウスには種々の形態学的な変化の現われることがすでに報告されている. しかし, KKマゥスの示す糖尿病状態とこれらの形態学的変化との関係をみた報告は少ない.
そこで, 本研究では, 生後4か月より16か月までの間, 体重を30-359に保つように毎日の給餌量を3-4.59と制限し, 糖尿病状態のコントロールを試みた. その結果, 血糖値および耐糖能の正常化がみられ, 尿糖は陰性化を示し, 糖尿病状態をコントロールすることができた.
そこで, このような給餌制限による糖尿病のコントロールの形態学的変化に及ぼす影響について観察を行なった. その結果, 飼料を自由に摂取させた非謙ントロール群では, KKマウス特有の変化, すなわち, 膵ラソゲルハソス島の肥大・増生, 腎糸球体の糸球体基底膜の不規則な肥厚とメサンギウム基質の増加, および, 心臓・肺・腎臓の中小動脈を主体とした部位に現われる石灰化などめ変化が観察された. これに反して, 糖尿病状態をコントロールした群では膵ランゲルハンス島, および, 腎糸球体の変化は明らかにその進展が抑制された.しかし, 心臓・肺・腎臓の中小動脈に現われた石灰化は非コントロール群同様にコントロール群でも観察された.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top