糖尿病
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糖尿病におけるSuperoxide Dismutase (SOD, EC 1.15. 1.1., Chrom 21) の臨床的検討
EIA法における血清Cu, Zn-SODについて
亀井 泰山之内 国男稲垣 孝雄沢木 春二
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キーワード: SOD, EIA法, 活性酸素
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1985 年 28 巻 11 号 p. 1197-1204

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抄録

Sandwich enzyme immunoassay法にて一次性糖尿病患者32名の血清Cu, Zn-superoxide dismutase (SOD) を測定し, その臨床診断への応用を検討した. また従来のnegativeassayによる生物学的活性値および臨床検査成績などとの比較を行った. その結果糖尿病患者のCu, Zn-SODは64±45ng/mlと健常対照群の33±9ng/mlに比し有意に高値を示した (p<0.001). 次に糖尿病患者の検討では罹病期間の長期化, インスリン依存者, トリグリセライド高値例, 肥満者などの群においてCu, Zn-SODの増加する傾向が認められ, 特にhemoglobin A1 (HbA1) 高値例では有意な上昇であった (P<0.05). しかし空腹時血糖や耐糖能試験における血糖値と血清Cu, Zn-SOD値の間には全く相関関係を認めなかった. 一方microangiopathyを有する群ではすべてに著しい上昇が観察され, とりわけ腎症合併群のCu, Zn-SODは103±52ng/mlと最も高値を示し, 非合併群に比し有意な上昇であった (P<0.01). なお生物学的活性との比較では全体によく相関し, 健常者群に対する糖尿病者群, 罹病期間の長期化, インスリン依存者群, HbA1高値例, microangiopathy合併群で同様な上昇傾向が認められた. 以上の成績から免疫学的測定法によるCu, Zn-SODは糖尿病の病態と深いかかわりを持ち, 主にインスリンの相対的ないし絶対的不足の病態を反映すると同時に, 合併症の病態に対しても活性酸素のscavengerとしての生体防禦的な役割を有することが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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