糖尿病
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非クロストリジウムによる糖尿病性ガス壊疽の1例と本邦報告例の考察
林 慎安田 圭吾北田 雅久五島 英一武田 則之今井 龍幸堀谷 登美子三浦 清飯田 宏樹棚橋 徳重
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1985 年 28 巻 5 号 p. 687-693

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抄録

Proteus vulgaris, Streptococcus faecalis の混合感染によるガス産生糖尿病性壊疽1例を経験し, これまでの非クロストリジウム属菌によるガス産生糖尿病性壊疽本邦報告例16例と併せて, 臨床縁の特徴を検討した.症例は40歳女性.昭和38年4月以降, 糖尿病と左III, IV 趾の壊疽によりインスリン治療をうけていたがコントロール不良.同年12月, 39℃ 台の発熱, 下腿以下の高度の浮腫, 左第II, III, IV, V 趾の壊疽, 潰瘍, 膿流出, 圧迫による皮下の捻髪音, レ線のガス像等を認めたため同月入院.糖尿病にはインスリン治療を, ガス産生壊疽に対し化学療法, 創部切開排膿, II, IV 趾の壊疽部廓清術, を行い救命し得た.膿培養からProteus vulgaris, Streptococcus faecalis を検出.
本邦, 非クロストリジウムによるガス産生糖尿病性壊疽例は全例下肢で, 報告例17例の臨床像は, 1) 男性に多く (65%), 平均年齢53歳, 40~50歳代82%, 左右別では, 左足の発症 (81%) が多かった.2) 糖尿病平均罹病期間は10年, 網膜症, 神経症, 腎症はいずれも90%の症例に認められた.3) 尿アセトン体は60%で陽性, 38℃ 以上の発熱 (78%), 10,000/mm3以上の白血球増多 (100%) がみられ, 平均空腹時血糖323mg/dl.4) 死亡率は53%(17例中9例) で, 救命例8例中6例で足関節より上部での肢切断術.5) 創部膿培養により, 好気性菌では, E. coli (31%), Streptococcus (31%), Pfoteus (25%) 菌が, 嫌気性菌ではBacteroides (31%) 菌感染が多かった.
本症の予後は悪く, レ線撮影によるガス産生の証明による早期診断, 化学療法と早期外科的治療併用の重要性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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