糖尿病
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顕性糖尿病を併発したKleinefelter症候群の2例と本邦報告例の観察
相楽 衛男中園 誠牧野 勲武部 和夫
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キーワード: 糖尿病合併, 本邦報告例
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1985 年 28 巻 5 号 p. 677-686

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抄録

糖尿病を併発したKleinefelter's syndromeの2例を報告し, 1984年3月末までの本邦における全報告例を対象に統計学的観察を行った.
第1例は46XY/47XXYのモザイク型を呈し, NIDM, IIb型高脂血症, 虚血性心疾患を併発していた.
第2例は47XXYpure typeを呈し, 糖尿病性ketoacidosisをもって発症した.入院時, IDDM, IQ低下, 特発性心筋肥大を併発していた.第1例目は食事療法のみで, 第2例目はMC-1ente insulin 14単位/日と比較的少量でコントロールが得られた.
今回の統計学的観察の結果得られた結論として, 欧米では1) IDDMの占める割合が少なく, hyperinsulemnic, hyperglycenlic patternを呈する割合が多く, 比較的コントロールが良好である, 2) 近親者に耐糖能異常者および糖尿病者が多い, との報告に対して本邦での報告例に関しては1) IDDMが多い, 2) low responsive insulemic, hyperglycemic patternを呈する症例が多い.3) 糖尿病治療薬を必要とする例が多い, 4) 欧米の場合と同様, 父母および近親者に耐糖能異常者が多い, などが判明した.他の内分泌学上の統計学的検討では欧米の場合と比較して大きな差異はなかった.本邦における本症に随伴した糖尿病の発症頻度は欧米の諸家の報告例に比較して極めて低値であった.この事実は, 本症に随伴する糖尿病に関する認識が未だ不十分と考えられ, 今後その頻度は上昇するものと思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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