糖尿病
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糖尿病集団検診の検討 (第1報)
HbA1cを用いた集団検診簡便化の試み
神村 匡富永 真琴佐々木 英夫渡辺 秀弥宮沢 光瑞
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1985 年 28 巻 9 号 p. 1035-1039

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抄録

山形県小国町および舟形町において糖尿病集団検診を実施し同時にHbA1cの測定も行い, 集団検診における有用性につき検討した. 一次検診は夕食後2時間の尿糖検査. 二次検診は尿糖陽性者を対象に75gブドウ糖負荷試験 (以下OGTTと略す) およびHbA1cの測定を行った. 延べ586名の二次検診受診者中正常型123名, 境界型293名および糖尿病型170名であつた. 各型のHbA1c,(平均値±SD) はそれぞれ4.90±0.46%, 5.00±0.53%, 6.45±1.57%であった. この成績をもとに, 糖尿病スクリーニングの簡便化を目的として, 1日・1の採血で得られるHbA1c, と空腹時血糖 (以下FPGと略す) を取り上げ検討した. すなわちHbA1cとFPGを2変量とした判別分析法により対象者を糖尿病群と非糖尿病群とに分別した. 判別式にはf=30×HbA1c, +FPG-270が与えられ, f≧0のとき糖尿病群と判別された. この判別式を用いてFPGとHbA1cとから糖尿病の診断を試みる方式, すなわちFPG-HbA1c, systemは糖尿病集団検診, 人間ドックや外来での糖尿病スクリーニングに利用されるものと期待された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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