糖尿病
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糖尿病患者における食事・運動療法の受容度について
吉田 亨
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1985 年 28 巻 9 号 p. 1065-1071

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抄録

糖尿病患者における食事・運動療法の実施状況, すなわち, 受容度 (compliance) についての研究は多くはない. また, これらの療法が日常生活での行動である点や, 細かな行動の集積である点にまで留意し, 客観的な把握を試みた例は少ない. そこでこれらの点を踏まえ, 受容度の詳細で正確な把握を行い, その相11二関係について検討を加えた.
調査対象は, 昭和56年秋に都内某病院で教育入院を終了した患者全員 (125名) とし, 教育入院終了後半年間の受容度を, 調査票を用いた面接調査により把握した. なお, 調査実施率は80.8%であった.
食事療法では, 朝・昼・夕食の受容度を中心に, 外食, 飲酒, 間食, 食品計量についても把握した. その結果, 市三食とも 「ほとんど守れた」 者は46%であるなど, 必ずしも満足すべき状況ではなかった. 一方, 運動療法では, 普段の日, 休日, 雨の日に分けて把握したが, 最低の日安である1日30分以上の運動を実施する者が, 普段の日で80%を占めた.
以上の受容度を, 相関係数等の検討を通じ,(三食・外食・飲酒・食品計量)(過量の間食)(運動療法) の3群に分けることができた. また,(1) 調理担当者による計量が行われているほど三食が良く守れており,(2) 外食内容が適正であるほど昼. 夕食が良く守れており,(3) 飲酒の機会が少ないほど夕食が良く守れていた. 以上の点を踏まえ, 今後の患者教育に当たる必要があると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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