糖尿病
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インスリン依存性糖尿病の成因に関する研究
膵島細胞膜抗体の認識する抗原の検討
松葉 育郎中村 富美男白沢 信行鶴岡 明森 豊石井 賢治山田 治男種瀬 富男石川 博池田 義雄
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1986 年 29 巻 3 号 p. 261-265

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抄録

インスリン依存性糖尿病 (IDDM) の患者血清中に出現する膵島細胞膜抗体 (ICSA) が認識する膵島特異抗原について検討した. 抗原側細胞としてヒト膵島B細胞クローン (JHPI-1) を使用した. JHPI-1から調製されたNP-40 lysatcsを, Laemmliらの方法によるSDS-polyacrylamide gelelectrophoresis (SDS-PAGE) により電気泳動を施行した. さらに, Western-Blotting法により, gelより蛋白成分を, nitrocellulose membraneに転写した. さらに, この転写nitrocellulose membraneを, 上記のICSA陽性血清, 正常健常者血清それぞれを第一次抗体として使用したBiotin-Avidin法による酵素抗体染色を施行した. その結果, 分子量120,000, 80,000, 64,000, 42,000, 34,000, 27,000の6本のbandが認められた. 一方, 正常健常者血清では, bandは1本も得られなかった. 従来のヒト膵島を使用した報告と同様に, 分子量64,000の抗原が認められ, JHPI-1がこの抗原を表現していることが考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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