糖尿病
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夜間陰茎膨張度による糖尿病性インポテンスの検討
高橋 良当平田 幸正
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1986 年 29 巻 3 号 p. 267-272

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抄録

糖尿病昔におけるインポテンスが機能性か器質性かを鑑別するため, 夜間陰茎膨脹度 (NPT) を測定した。
勃起不全のため挿入不能を訴え, 内部臓器に重大な合併症を有さない患者28名を対象とした. REM期を抑制する薬を中止後, NPTをボテンシメーターにて, 陰茎根部 (Base) と頸部 (Tip) との2ヵ所で同時に測定, 記録した. その結果, BaseまたはTipのいずれかが20%以上の膨脹を示した機能正常群12例と, それ以下の異常群16例とに分かれたので, この2群間での比較・検討を行った.
年齢, 糖尿病罹患年数, インポテンス期間, HbA1, 肥満度, 糖尿病治療に有意な差は認められないが, アキレス腱反射と下肢神経伝導速度はNPT異常群が有意に低下していた. 立位時の収縮期血圧低下はNPT異常群が31±16mmHg, Ir三常群が9±9mmHgと有意な差がみられた. また, 心理テストのSDSの結果ではNPT異常群に明らかな抑うつ傾向が認められた.
インポテンスを訴える糖尿病男子の約4割は, NPTが20%を越える機能正常者であり, NPT結果を示し, 機能的に正常であることを説明するだけでインポテンスの消失をみた症例もあった. NPT異常群はNPT正常群に比べ, 糖尿病性神経障害や起立性低血圧, さらに抑うつ傾向がより高度であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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