糖尿病
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摂食および摂食制限が肥満マウスの脂肪組織酸素消費に及ぼす影響
宮崎 滋内藤 周幸
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1986 年 29 巻 9 号 p. 795-803

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抄録
肥満患者の食事制限療法中に体重減少が徐々に鈍化する適応現象の発現に, 脂肪組織における酸素消費量の変化が関与しているかどうかを検討する目的で, ob/ob系産熱性肥満マウスおよび調節性肥満と考えられる高脂肪食による肥満DD系マウスについて, 個体および脂肪組織の酸素消費量を測定した.個体酸素消費量は, 二酸化炭素吸収剤を入れた密封容器にマウスを入れ, 一定時間に吸収された二酸化炭素量を測定する方法を用い, 個体酸素消費量を単位体重当たりで表した.白色および褐色脂肪組織の組織酸素消費量はBiological oxygen monitor (YSI製) を用いて測定した.ob/ob系マウスでは, 単位体重酸素消費量, 白色および褐色脂肪組織の組織酸素消費量は, DD系マウスよりより低値であり, 産熱性障害がob/ob系マウスの肥満の主因のひとつであるとする従来の考え方を支持する成績と思われた.一方, 高脂肪食を摂食させた肥満DD系マウスでは, 白色脂肪組織酸素消費量は通常飼糧を摂食させたDD系マウスより, より高値であった.高脂肪食肥満DD系マウスに, 高脂肪食の摂食を約半量に制限すると, 体重の増加は摂食を制限しない対象群と同様で, 白色脂肪組織酸素消費量は減少し, 白色脂肪組織ではエネルギー保存の方向にむかっているのではないかと思われた.体内での白色脂肪組織の総量は褐色脂肪組織のそれより明らかに多く, 白色脂肪組織酸素消費量の増減と, 適応現象の発現との関連が考えられた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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