糖尿病
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サイクロスポリン投与NODマウス脾細胞移入によるInsulitis抑制効果
森 豊須甲 松信奥平 博一松葉 育郎鶴岡 明佐々木 温子西村 正彦信田 隆夫種瀬 富男池田 義雄
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1987 年 30 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

サイクロスポリン (Cs) によるNODマウスのInsulitisおよび糖尿病発症予防効果におけるsupprcssorT細胞の関与を検討するH的でCs投与NODマウス脾細胞移入実験を行った. 移入細胞としてI群;糖尿病発症直後雌NODマウスの脾細胞, II群;I群に生後100日齢のCs投与雌NODマウスの脾細胞を加えたもの (Cs25mg/kgを隔日に40日間投与), III群;I群に生後240日齢以上Cs投与雌NODマウスの脾細胞を加えたもの (Cs25mg/kgを隔日に40日間投与), IV群;生後30日齢の雌NODマウス (対照群) の脾細胞であり, Recipientは全群とも生後30日齢の雌NODマウスで行った. 血糖は4週問を通じて各群とも有意な上昇を認めなかったが, 脾細胞移入4週後の膵ラ氏島リンパ球浸潤の程度をGrade 1~3のScoreで評価すると, I群, III群はIV群に比して有意にリンパ球浸潤が亢進しており, またII群はI群に比して有意に抑制されていた. すなわち1) 糖尿病発症直後の雌NODマウス脾細胞を若齢雌NODマウスに移入しても糖尿病を早期に誘発することはできなかったがInsulitisの程度は有意に増強された. 2) Cs投与NODマウス脾細胞には糖尿病発症直後雌NODマウス脾細胞移入によるInsulitis増強を抑制する効果が認められた. 3) この抑制効果は生後240日齢以上のCs投与NODマウス脾細胞には認められなかった. 以上の結果よりCs投与によるNODマウスのInsulitis抑制効果にはhelperT細胞活性の阻害以外にもsuppressor機構の関与していることが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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