糖尿病
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II型糖尿病患者における血小板内ビタミンE濃度
筒井 理裕小沼 富男落合 滋朴 明俊遅野井 健武部 和夫
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1987 年 30 巻 2 号 p. 127-132

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抄録

糖尿病性血管障害の発症, 進展機序のひとつに血小板の機能異常, 特に脂質過酸化亢進状態が注目されているが, そのscavcngcrであるビタミンE (Vit. E) の血小板内濃度について検討した, II型糖尿病患者72名 (DM群) の血小板内Vit. E濃度は0.85±0.05μg/109 platelcts (Mean±SE) であり, これは健常対照者30名 (C群) での0.53±0.03μg/109plateletsと比べて有意 (p<0.001) に高値であった. また血漿Vit.E濃度もDM群 (1.14±0.04mg/dl) がC群 (0.91±0.03mg/dl) と比べて有意 (p<0.001) に高値であった. DM群においてこれら血小板と血漿のVit.E濃度の間にはr=0.336の有意 (p<0.001) な正の相関関係が認められた.
さらにDM群において, 糖尿病病態と血小板内Vit. E濃度との関連についても検討を加えた. 糖尿病の罹病期間, 治療法, 血糖コントロール状態のそれぞれと, 血小板内Vit. E濃度との間には有意な関連がみられなかった.一方, 糖尿病の血管合併症との関連では, 蛋白尿陽性例での血小板内Vit. E濃度 (1.14±0.19μg/109platclets) は陰性例 (0.77±0.04μg/109platelets) と比べて有意 (p<0.01) に高値であった.また蛋白尿陽性例のなかでは, 虚血性心病変合併例での血小板内Vit.E濃度 (0.62±0.08μg/109platclets) が非合併例 (1.40±0.24μg/109platelets) と比べて有意 (p<0.05) に低値であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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