糖尿病
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インスリン投与時間のストレプトゾトシン糖尿病ラット食行動への影響
清水 弘行下村 洋之助佐藤 則之高橋 正樹上原 豊大島 喜八諏訪 邦彦小林 功小林 節雄
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1987 年 30 巻 6 号 p. 497-502

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抄録

インスリン投与時刻の相違がいかなる影響を食行動や生体内代謝におよぼすのであろうか. 今回私たちはストレプトゾトシン (STZ) 糖尿病ラットを用いて検討を加えた.
方法: STZ60mg/kg腹腔内投与により作成した糖尿病 (DM) 群と対照 (Cont.) 群に対してNPHインスリン8単位/日または同量の生食水を投与し, 7日間の体重, 摂食行動や脂質代謝変化について検討した.
結果: 1) 体重;NPH投与によりDM群の体重は増加し, 特にこの増加はL-NPH群に顕著であった. 2) 摂食量;糖尿病状態で増加した摂食量は, L-NPH群においてのみ有意 (P<0.05) な減少を認めた. 3) 血糖値;血糖値をDM生食投与群と比較した場合, DINPH群はインスリン投与12時間後23.00%まで低下したが, 24時間後に63.49%まで. 上昇した.それに反し, L-NPH群は, 12時間後に12.00%まで低下したが, 24時問後に77.27%まで上昇した. 4) 脂肪織重量;インスリン投与により各脂肪織重量は増加し, LNPH群においてのみ正常レベルまで復した.5) 肝総脂質含量;インスリン投与によりCont. 群レベルにまで減少を示し, 特にL-NPH群はD-NPH群に対して有意 (P<0.05) な減少を認めた.
本研究を通してインスリン投字時刻の相違により, 生体が糖尿病状態から回復してゆく週程に差異の存在することが明らかとなった. 今後臨床的意義についてもさらに検討をすすめてゆくべき重要な課題と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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