糖尿病
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血糖自己測定装置の尿糖定量への応用
藤井 恵子永峰 康孝大島 一洋上田 隆白川 悦久弘田 明成島 健二
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1987 年 30 巻 8 号 p. 709-714

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抄録

糖尿病自己管理にとって, 尿糖値が有用であるためには, 家庭において尿糖の定量が手軽にできる必要がある. この問題解決のために, まず, 血糖自己測定器で尿糖自己定量が可能か否かを検討した. さらに, 種々の条件下蓄尿に際しての尿糖濃度の変動についてもあわせ検索を加えた.
デキストロスティックス/デキストロメーターII ® (以下デキストロと略す), グルコスティックス/グルコスター® (以下グルコと略す), ダイアトロール/トーエコー® (以下ダイアと略す) を検討対象測定系とし, 対照法としてフジドライケム1000®を用いた. デキストロで尿を測定した場合, 発色部分が不均一に呈色し, 定量は不可能であった. グルコ, ダイアの場合, いずれも均一に呈色し, 原尿で測定する限り, それらの測定値は対照法のそれによく類似した. 希釈尿を用いた際ダイアの場合理論値によく一致したが, グルコでは理論値と解離した. ダイア測定系の精度は同一熟練者, および熟練者で測定者が異なった場合, CVはそれぞれ4%, 5.2%であった. 非熟練者の場合のCVは10%と熟練者のそれに比べやや劣った.
E.coliを添加し, 蓄尿すると25℃, 37℃の場合, 経時的に尿糖濃度は低下した. しかし, 患者尿をそのまま用いた場合, 蓄尿による影響は患者により異なったが, 24時間以内では測定値に変化は認められなかった.
以上の成績より, ダイア測定系で尿糖自己定量が可能であることが明らかとなった. また, 糖尿病自己管理に本測定の応用の可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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