糖尿病
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糖尿病性神経障害の東洋医学的治療
牛車腎気丸とメコバラミンの比較検討
坂本 信夫佐藤 祐造後藤 由夫池田 義雄高橋 昭矢野 三郎竹田 亮祐馬場 茂明兼子 俊男三村 悟郎田中 恒男
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1987 年 30 巻 8 号 p. 729-737

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抄録

糖尿病性神経障害に対し, 漢方製剤である牛車腎気丸とビタミンB12製剤であるmecobalamin (methyl-B12) の有効性に関する比較検討試験を行った. すなわち, 牛車腎気丸 (7.5g/日) を試験薬 (G群, 48例), mecobalamin (1.5mg/日) を対照薬とし (M群, 38例), 封筒法により割りつけたwell-controlled studyを12週間以上実施, 群間比較を行った.
自覚症状ことに, しびれに対してG群の改善率は69.8%とM群37.1%に比して有意に (p<0.05) 大であった. また, 性欲減退および陰萎を合計した症例の改善率は, G群で29.6%, M群13.3%と前者が後者に比して大である傾向 (p<0.10) を示した. G群の全般改善率は77.1%とM群52.6%より有意に (p<0.01) 大で, 有効性 (p<0.02), 有用性 (p<0.02) もG群がM群より大であった.
以上の成績は, 糖尿病性神経障害の治療上牛車腎気丸が有用であることを示唆しているものと思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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