糖尿病
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インスリン非依存型糖尿病における病態特性, 特にGlucose Clamp法による外因性インスリンの膵内分泌機能ならびに末梢糖代謝に及ぼす影響
森田 須美春
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キーワード: 最大抑制率
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1987 年 30 巻 8 号 p. 723-728

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抄録

軽症のインスリン非依存型糖尿病患者における内因性インスリン, グルカゴンおよび腸管グルカゴン分泌に及ぼすインスリン作用について, glucose clamp法を用いて検討した. その結果, 正常者, 糖尿病者いずれにおいても, それぞれの空腹時血糖値に維持した状態において, 2時間にわたる40mU/m2/minのレギュラーインスリン注入により血. 中CPR, IRG, Gut GLIは有意に低下した, しかしながら, その抑制の程度はいずれも糖尿病群では正常者に比して有意に低値であった. このことは, 正常者と差を認めない空腹時血糖を持つ症例や, 治療によって空腹時血糖の改善した症例においても同様に認められた。このとき, 糖質代謝におけるインスリン作用, metabolic clearance rate (MCR) は, 正常者の8.8±0.2ml/kg/minに比して糖尿病群では4.8±0.4ml/kg/minとインスリン感受性の低下が存在した.
以上の結果より, 外因性インスリンは, 内因性インスリン, グルカゴンのみならず腸管グルカゴン分泌をも抑制することを明らかにした. しかし, これらの内分泌機能相関において, インスリン未治療の糖尿病では正常者より低下しており, MCRからみた末梢組織でのインスリン感受性も同様に低下していることが明らかとなった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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