糖尿病
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多発性インスリノーマと副甲状腺腺腫を呈した多発性内分泌腺腫症 (MEN) I型の1例
石井 英博末廣 朋来宮崎 和則船越 顕博井林 博古賀 明俊許斐 康煕自見 厚郎
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1987 年 30 巻 8 号 p. 747-751

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抄録

症例は27歳女性. 意識消失発作を主訴として入院し, 絶食試験・血管造影・経皮経肝門脈カテーテル法などの諸検査によりインスリノーマと診断し, 手術で膵内の計6個のインスリノーマを摘出. 2年後に高カルシウム血症の精査にて再入院し, 副甲状腺機能亢進症の診断で単発性の副甲状腺腺腫を摘出した. 下垂体には異常を認めず, また家族歴を欠き, 多発性インスリノーマと副甲状腺腺腫を呈した散発例の多発性内分泌腺腫症 (MEN) I型と診断した. 膵インスリノーマでは腺腫内のインスリン, グルカゴン, ソマトスタチンおよびhuman pancreatic polypcptide (hPP) など各種ホルモン測定, 免疫組織化学および電顕像などの所見から, 多種ホルモン産生能を示し, また各腺腫ごとにこれら各種ホルモン産生パターンが全く異なることを認めた. また, 腫瘍内インスリンのHPLC分析ではインスリンの構造異常は認めえなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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