糖尿病
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糖尿病性腎症とポリオール代謝経路との関連
BB/Wラットにおける腎の機能的および組織学的変化
渡辺 敏郎石井 淳
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1988 年 31 巻 3 号 p. 209-215

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抄録

自然発症インスリン依存型 (1型) 糖尿病動物 (BB/Wラット) に対しaldosc rcductase inhibitor (ARI: ONO-2235) を投与し, 糖尿病性腎症とポリオール代謝との関連につき検討した. 腎ソルビトール含量は, インスリン単独治療糖尿病群 (A群) に比し, ARIを併用した糖尿病群 (B群) および同週齢未発症対照群 (C群) でともに有意に低値であった (ともにp<0.05). 尿中アルブミン排泄量 (U-Alb) および尿中N-acctyl-β-D-glucosaminidasc (U-NAG) 活性は, A群で観察期間中, 有意に増加を認めたが (ともにp<0.05), B, C群では不変であった. 光顕上, メサンギウム領域はA群において, B, C群に比し, 有意に増加した (p<0.05). 電顕上, A群において, 上波細胞の腫大, 足突起の癒合, などが認められた. 以上, 糖尿病による, 腎ソルビトール蓄積と腎障害との関連が示唆され, ARI投与により, 腎障害の改善あるいは発現が抑制される可能性が考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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