1988 年 31 巻 7 号 p. 591-595
小児糖尿病キャンプおよび滋賀医科大学第三内科外来・入院患者, 計50例を対象に, われわれの開発した血中3-ヒドロキシ酪酸の試験紙法による血中ケトン体自己測定を行い, その臨床応用の可能性について検討した.
血中3-ヒドロキシ酪酸自己測定の目視法および機器法と, 酵素法との間には良好な相関関係が得られた (目視法r=0.885, p<0.01, 機器法r=0.930, p<0.01).ニトロプルシッド法による尿中ケトン体測定陰性でも, 血中3-ヒドロキシ酪酸が正常上限を上回る例が53%に認められた.小児~学童でもケトン体自己測定値と定量値との間に良好な相関関係が得られた (機器法r=0.926, p<0.01).
以上より, 試験紙法による血中ケトン体自己測定は, 小児~学童でも容易かつ正確に施行可能であり, 糖尿病の自己管理を行う上で, ケトアシドーシスの早期発見・予防のみでなく, 糖尿病のより良いコントロール指標としても利用可能であると考えられた.