糖尿病
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31 巻, 7 号
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  • 馬場 茂明
    1988 年 31 巻 7 号 p. 545-546
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 岡田 奏二, 宮井 陽一郎, 佐藤 公明, 正木 善告, 樋口 徹, 荻野 泰久, 太田 善介
    1988 年 31 巻 7 号 p. 547-551
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    教科書を用い対話を行う糖尿病教室の糖尿病者に与える代謝学的な効果を検討した.対象は58名の外来通院中のインスリンや経口血糖降下剤の投与されていない糖尿病者である.38名はHbA1値が高値 (A) 群で, 20名は正常値 (B) 群であった.教育は教科書を用いると共に対話を行う糖尿病教室により1週間隔で2回行った.A群の体重は60.2±12.6kgから59.3±11.3kgへ, B群の体重は59.4±5.5kgから57.3±4.7kgへ, 教育後2カ月日には有意に低下した (それぞれp<0.005). A群では早朝空腹時血糖値は168.5±46.2mg/dlから132.7±34.2mg/dlへ, HbA1値は10.8±2.0%から9.4±1.9%へと教育後2カ月目には有意に低下した (それぞれp<0.001) が, B群では有意の変化を示さなかった.対照群では, 観察当初と2カ月後のそれぞれのパラメーターには有意差がなかった.以上より, このシステムの糖尿病教室は代謝学的効果を示すと結論される.
  • 人工膵島を適用した対比検討
    野村 誠, 鮴谷 佳和, 坂東 一雄, 河盛 隆造, 七里 元亮, 鎌田 武信, 宮田 正彦, 中尾 量保, 伊豆 蔵正明, 川島 康正
    1988 年 31 巻 7 号 p. 553-560
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    膵臓手術直後における血糖制御に要するインスリン注入量に関して, 人工膵島を適用してI群: 膵部分切除 (n=5, 但し3例の膵部分自家移植例を含む), II群: 膵全摘 (n=6) に分け比較検討を行った.I, II群の間において, 術前の年齢・体重・50g OGTTでの耐糖能.インスリン分泌能に, 有意差は認めなかった.手術終了直後より, ブドウ糖10g/時を含む補液下での血糖制御を, 人工膵島を用いて行ったところ, 両群ともに8時間後には血糖値は正常域に維持され, インスリン注入量も安定化した.両群において, 血糖応答動態に有意差は認めなかったが, この間の平均インスリン注入量は, I群: 2.7×B (1×B=0.225mU/kg/min), II群: 7.6×Bと両群間で有意差を認めた (p<0.01).
    また, この間両群ともに総カテコラミン, コーチゾル血中レベルは, 健常者安静時に比して著明な高値を呈したが, 両群間にては差がなく, グルカゴン, 成長ホルモンにおいても両群間に有意差を認めなかった.しかしながら, 血中C-ペプチドは, I群において有意に高値を示した.
    今回の検討より, 残存膵を有するものが術後血糖制御においてもインスリン必要量が少ないことが明らかとなった.
  • 海原 昭人, 水谷 義晴, 山野 利尚, 大野 文俊
    1988 年 31 巻 7 号 p. 561-568
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病における尿, 血清のNAG活性値とNAG isoenzyme値を糖尿病合併症, 血糖調節状態等と関連して総合的に検討した.対象は, 糖尿病 (NIDDM) 50例と健常人15例である.特にNAG isoenzyme分離には2% agarose電気泳動-MCP-NAG反応 (陰極側からNAG I, II, III. IがB formに相当) を用いた.NIDDMのNAG活性値は, 尿, 血清ともに健常人に比し有意に高値 (p<0.01, p<0.001) であった.尿NAG活性値の上昇は, 有合併症群とくに腎症群で著しく, 長期的な良好血糖調節で低下傾向を示した.糖尿病の尿isoenzyme比率は, 健常人に比しNAG Iの増加が特徴であったが, NAG活性値へ換算するとNAG I, II値の上昇となり, 特にNAG Iは腎障害などの細小血管障害, NAG IIはFBSと相関 (p<0.01, p<0.05) した.他方, 血清NAG活性値は合併症の有無に関係なく総て高値で, 人工膵島下でのみ一時的な低下を示し, 長期の通常血糖調節では不変であった.但し, 血清NAG isoenzyme比率は健常人と差を認めなかった.この血清での高値は, 特定の臓器由来でなく糖尿病自体の広汎な代謝異常の表現と推測した.
  • 田村 友則, 横山 淳一, 渡辺 嘉久
    1988 年 31 巻 7 号 p. 569-575
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の膵の形態をみる目的で超音波検査を行い膵の形態異常をみるとともに, 上腸間膜動脈上での膵体部縦断面積 (S値) を計測し, 糖尿病の臨床像や血清トリプシン値との関連を検討した.
    1) IDDMでは, NIDDM (p<0.01), 健常者 (p<0.01) に比して有意にS値が小さかった.一方, NIDDMでは健常者との差はなくS値は保たれていた.
    2) IDDMでは, 発症年齢が低いほどS値は小さかった (r=0.47, p<0.05).一方, NIDDMではその傾向はみられなかった.
    3) S値と罹病期間, 糖尿病性網膜症の進展度とは関連がみられなかった.
    4) 血清トリプシン値はIDDMではNIDDMに比して有意に低下していた (p<0.01).血清トリプシン値とS値との間には正の相関がみられた (r=0.59, p<0.01).
    以上の成績により, IDDMの多くは発症初期より膵体部縦断面積が小さく, 膵外分泌障害も伴っていることが示唆された.
  • 伴野 祥一, 大島 茂, 福田 まゆみ, 飯塚 孝, 栗原 修一, 堺堀 和典, 清水 美津夫, 村田 和彦
    1988 年 31 巻 7 号 p. 577-584
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病は虚血性心疾患の危険因子の1つとされ, 特に女性ではこの傾向がより著明であるという.そこで, 冠動脈造影を行った40~69歳の女性158例につき, 冠硬化病変と耐糖能について検討を行い, 男性505例と比較した.冠硬化病変のある群 (冠硬化群) とない群 (非冠硬化群) で糖尿病型である者の率を比較すると, 女性では冠硬化群32%, 非冠硬化群15%と冠硬化群で非冠硬化群の2倍以上であり, 両群間に有意の差を認めた (p<0.001).これに対し, 男性ではそれぞれ18%, 13%で, 両群間に有意の差はなかった.冠硬化群について, 耐糖能と冠硬化病変の重症度の関係をみると, 女性では, 耐糖能異常が高度なほど冠硬化病変は主幹部, 末梢部ともに強くなる傾向であった.糖尿病の女性21例について罹病期間と冠動脈病変の関係をみると, 罹病期間が長くなるに従い病変も強くなる傾向があったが, 必ずしもこれに当てはまらない症例もみられた.
  • 佐藤 則之, 諏訪 邦彦, 下村 洋之助, 高橋 正樹, 清水 弘行, 上原 豊, 大島 喜八, 小林 功, 小林 節雄
    1988 年 31 巻 7 号 p. 585-590
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    コントロール不良糖尿病患者 (NIDDM) における, 好中球酸素依存性殺菌能の低下原因を解明する目的で, オプソニン化チモーザン刺激時の分離好中球superoxide anion (O2) 産生能, およびluminoldependentchemiluminescence (LDCL) 活性を, また非刺激時の好中球内myeloperoxidase (MPO) 活性を測定した.
    コントロール不良糖尿病患者18名 (DM群) においては健常者20名 (N群) と比較して, O2産生能およびLDCL活性は明らかに低下していた (共にP<0.01).また, MPO活性においてもDM群は明らかに低下しており (p<0.01), しかも, HbA1と負の相関関係 (r=-0.874, p<0.01) が認められた.
    以上より, コントロール不良糖尿病患者では, O2産生能低下のみならず, MPO活性の低下が認められ, 酸素依存性殺菌能そのものが障害されていることが明らかとなった.
  • 青木 孝彦, 日高 秀樹, 小杉 圭右, 原田 真理子, 中島 譲, 宇野 静夫, 原納 優, 片岡 李久, 繁田 幸男
    1988 年 31 巻 7 号 p. 591-595
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児糖尿病キャンプおよび滋賀医科大学第三内科外来・入院患者, 計50例を対象に, われわれの開発した血中3-ヒドロキシ酪酸の試験紙法による血中ケトン体自己測定を行い, その臨床応用の可能性について検討した.
    血中3-ヒドロキシ酪酸自己測定の目視法および機器法と, 酵素法との間には良好な相関関係が得られた (目視法r=0.885, p<0.01, 機器法r=0.930, p<0.01).ニトロプルシッド法による尿中ケトン体測定陰性でも, 血中3-ヒドロキシ酪酸が正常上限を上回る例が53%に認められた.小児~学童でもケトン体自己測定値と定量値との間に良好な相関関係が得られた (機器法r=0.926, p<0.01).
    以上より, 試験紙法による血中ケトン体自己測定は, 小児~学童でも容易かつ正確に施行可能であり, 糖尿病の自己管理を行う上で, ケトアシドーシスの早期発見・予防のみでなく, 糖尿病のより良いコントロール指標としても利用可能であると考えられた.
  • 野口 隆博, 桶田 俊光, 伊奈 啓輔, 小野 順子, 高木 良三郎
    1988 年 31 巻 7 号 p. 597-604
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Glucoseに対する膵A細胞のglucagon分泌反応については, insulinや, それを分泌するB細胞の直接作用が深く関与していることが考えられる.私共はA cell-rich cultureの作成を試み, グルカゴン分泌反応の特性を検討した.浮遊状態のハムスター単個膵島細胞にalloxanを作用させ, B細胞を死滅させ, Ficoll-Conray濃度勾配法で取り除いた.細胞の比率は, 対照群でA細胞16.6±1.9%, B細胞78.9±6.3%, D細胞8.5±2.4%に対し, alloxan処理群ではA細胞74.4±1.5%, B細胞1.8±0.3%, D細胞14.7±1.1%と, A細胞に富んだ細胞群を得ることができた.この細胞群のinsulin分泌量は5×104細胞, 2時間当り0.4ng以下であった.またglucagon分泌はinsulin欠乏状態ではglucagon濃度により影響をうけなかったが, 4ng/ml以上のinsulin存在下では低glucose (0.3mg/ml) によりglucagon分泌の増加がみられた.しかし, 高glucose (3.0mg/ml) によるglucagon分泌の抑制は認められなかった.
  • 福田 正博, 田原 保宏, 山本 佳弘, 熊原 雄一, 田中 彰, 島 健二
    1988 年 31 巻 7 号 p. 605-609
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は39歳の女性のインスリン依存型糖尿病患者で糖尿病罹病期間は16年である.血糖コントロール目的で入院となり, 入院後CSII治療を開始した.網膜症の治療のため, 螢光眼底検査, 光凝固療法を開始したところ, コントロールが急激に悪化し, 検査後には空腹時血糖値が最高700mg/dlにも達した.本症例は血中CRP無反応であり, 膵B細胞機能は廃絶し, またインスリン低血糖時のグルカゴン分泌反応も障害されていた.眼科的処置日前後の血糖値, 抗インスリンホルモン分泌反応を測定したところ, 処置後著明な血糖値の上昇と共にエピネフリンの増加が認められた.膵B細胞機能の廃絶している症例では種々の要因により血糖値が動揺する可能性が高いが, 本症例の場合は眼科的処置によるストレスが血糖コントロール不安定性を惹起したものと考えられた.
  • 本多 真, 鈴来 和男, 鈴木 隆, 入江 実, 葛谷 信貞, 梶沼 宏
    1988 年 31 巻 7 号 p. 611-617
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    化膿性脊椎炎を合併した糖尿病の1例を経験したので報告する.症例は72歳男性, インスリン治療中のII型糖尿病患者で発熱と腰痛を主訴に入院.下部腰椎の圧痛と左腸腰筋刺激症状とともに, 白血球増多, 血沈亢進, CRP強陽性, 膿尿等が見られ, 動脈血培養ではα溶連菌が検出された.レ線上第3, 4腰椎の骨破壊像が, 骨シンチでは同部に異常集積像が, またCTでは骨破壊像, 骨棘形成が認められた.以上より化膿性脊椎炎と診断し, 化学療法を開始するとともにギプスベットによる局所の安静をはかったところ炎症所見は改善し, 4ヵ月後には自立歩行も可能となり退院した.本症は糖尿病に合併することが多いとされており, また早期に治療を開始することにより保存的に治癒しうることから, 炎症所見とともに腰背部痛を訴える症例では本症も念頭に置き早期発見に努める必要があると思われる.
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