糖尿病
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糖尿病を合併した糖原病1a型の1例: 糖, ケトン体代謝とインスリン分泌の検討
谷川 敬一郎古家 寛司川口 美喜子加藤 譲
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1989 年 32 巻 3 号 p. 209-214

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抄録
糖尿病を合併した糖原病1a型の1例 (32歳, 女性) の血中ケトン体と血糖の動態について検討した.48時間の絶食試験では, 血糖およびインスリンは開始12時間後で著明に低下した.その後よりケトン体は検査を終了まで徐々に増加した.759経ロブドウ糖負荷試験では, 血糖と同様にケトン体も, 30分, 60分後に高値であった.インスリン負荷試験 (0.2U/Kg) ではケトン体, 血糖はいずれも90分に底値を示し, ケトン体は150分から240分まで急峻な反跳現象を示したが血糖は240分でも前値に回復しなかった.以上の成績は, 本症例の病態はケトージスであり, 血糖の低下の際のエネルギー代謝にケトン体が効率よく利用されていると考えられる.しかしながら本例が糖尿病を合併した病因についてはなお不明である.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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