糖尿病
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坐骨骨髄炎を合併した糖尿病の1例
荻野 泰久岡田 奏二樋口 徹市木 研田野口 創太田 善介
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1989 年 32 巻 5 号 p. 325-330

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抄録

症例は糖尿病歴24年の65歳の女性. 60歳より閉塞性動脈硬化症を合併し間歇性跛行・左足底部潰瘍の寛解・増悪を繰り返していた. 昭和61年1月より持続する左股関節部痛を主訴として, その3週後に当院を受診X線検査にて異常を認めず, 筋肉痛として対症療法を受けていたが増悪するため入院. 入院時, 発熱・著明な左股関節部痛・左足底部潰瘍を認めた. X線にて坐骨の融解像を認め, 骨シンチグラフィーでも同部位の異常集積像を認め, また試験穿刺にて膿汁を採取したため, 坐骨骨髄炎と診断された.
入院後, 後遺症を残さず3ヵ月後に寛解を得, 現在まで再発を認めていない.
本症は足底部潰瘍を感染源として血行性に坐骨骨髄炎を発症したことが強く疑われ, 糖尿病患者におけるfoot careの重要性を示した. また, 糖尿病患者における原因不明の疼痛に対し骨髄炎を常に念頭におき早期診断・早期治療をする必要があると思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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