糖尿病
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東京・山谷地域における糖尿病の実態
長坂 昌一郎小山 茂岩本 安彦葛谷 健
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1991 年 34 巻 12 号 p. 1025-1032

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抄録

東京・山谷地域における, 日雇い労働者の糖尿病の患者調査をおこなった. 対象は昭和62年度に山谷・健康相談室を受診した尿糖陽性者など222名で, このうち166名を糖尿病 (全例NIDDM) と診断した.推定有病率は50~54歳で4.2%と最も高く, 全体で3.2%となった. 糖尿病患者は年齢51±7歳で, アルコール歴を134名 (83%) に認めた.初診時HbA1は11~11.9%をピークとする一峰性分布を示したが, 随時血糖は250~299および500~549mg/dlをピークとする二峰性分布を示した. 26%に網膜症, 34%に蛋白尿, 64%にアキレス腱反射の低下ないし消失を認めた. また併発疾患として肝硬変など肝疾患103名 (62%), 肺結核など呼吸器疾患41名 (25%) がみられた. 山谷地域の糖尿病の有病率, 糖尿病性合併症の有病率は, 日本の一般的な報告と同程度であった. しかし血糖コントロールは不良のものが多く, また併発疾患として慢性肝疾患, 肺結核などの高頻度が特徴的と思われた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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